第17話 絶対龍種を噛ませ扱いする最近の人類は最高にイカれてる思う件について②
前回のあらすじ!
王国から決死の逃避行をしたと思った矢先、今度は
しかもその原因を作った本人はどこ吹く風といった感じという。もっと具体的に言えば嫌いな奴が犬のクソを踏んだ瞬間を目撃した時ぐらいに大変機嫌良く鼻歌交じりなまである。ぶっとばすぞ。
『なぁに大丈夫ですよ大丈夫。なにせマスターには王国が誇る超絶殲滅美少女聖剣ちゃんがついていますからっ!』
えぇーほんとでござるかー?
全くもって安心出来ないしそもそもお前は美少女じゃないだろ。
『それに今から逃げたところで遅いですよ? ドラゴン族の移動速度は侮れないのです』
「誰のせいでこうなったと思っているのかしら……」
ほんとそれな。
アリスは呆れたように額をおさえた。もちろん俺も似たような心境だ。
チラリ
コオオオオオオオオオオオオオオオオオ
ドラゴンさんは依然として怒り心頭な模様。
その怒りたるや凄まじいもので龍炎息吹を放つためか肺が膨れるほど大きく息を吸い込んでいる始末だ。アカンこのままでは骨どころか消し炭すら残らん。
「うへぇ……やるしかないか」
「流石に同情するわ……」
どうしてこうなった。
まぁ仮にも王国屈指の決戦兵器でもある聖剣がついているわけだしなんとかなるか。ていうかなんとかなれ。もはやヤケクソである。
しかし俺とアリスがゲンナリする中、彼女らはどこまでも遠足気分だった。
『ねぇねぇマスター? そろそろアタシも使って欲しいなぁなんて。イイコトしてア・ゲ・ル♪』
『ちょちょちょ待って下さい! そ、それは聖剣的にも譲れませんよ!?』
『いいじゃない! アンタはさっき活躍していたでしょ!!』
『うっ』
さっきとは王国から脱出した時のことを言っているのだろうか。聖剣ちゃん的には大変不満だったみたいだが活躍カウントに入るらしい。一応魔剣ちゃんの言い分にも一理はありそうだ。それが分かっているからなのか聖剣ちゃんは言葉を詰まらせた。
『それにマスター的にもそろそろ私達の性能をキチンと把握するべきじゃない?』
『グヌヌヌヌ、こんなメスガキムーブしている魔剣に正論ぶちかまされるとは……一生の不覚!』
『ハイハイ。じゃあ話は決まりね☆』
君達案外と仲いいねぇ。
とりあえずその決定に俺の意志が一切介入してないのは如何なものかと思うけど。そもそも俺的には可及的速やかに逃げたい。
「……来るわっ」
アリスが悲鳴を上げる。慌ててドラゴンの方に視線を向けると準備万端そうな雰囲気が漂っていた。
「ソノ存在ノ欠片モ残サンッ。汝ヲ煉獄ノ底二鎮メヨウ!!!!!」
そして次の瞬間、目の前が業火で埋め尽くされた。純然たる殺意の塊。その気に当てられただけで魂ごと持っていかれそうだ。しかし不思議と不安はあまりない。なにせ俺達には胡散臭いことこの上ないが伝説級の相棒達がついているのだから。
『仕方ないですお膳立てはこっちのほうでしてあげましょうかね。マスターまずは
もはやこの段階で選択肢など存在しない。俺は言われるがままに聖剣を掴み振りかぶった。
『私の真骨頂はビームでもこの輝く剣身でもなく――魔力拡散性能』
迫り来る骨すら焼き尽くす紅蓮の獄炎。しかしそれが俺達に届くことはない。聖剣が斜めに線を描くように目の前の空間を一閃すると、業火は真っ二つに分断されてしまった。そしてそのまま綺麗サッパリ空中に霧散して消えた。
『――そしてアタシの真骨頂は魔力収束性能。マスター思いっきりやっちゃって!!』
ブォン。
そんな起動音と共にその剣身にいくつも光のラインが走った。そして獄炎が霧散した辺りの空間を喰らった。
オオオオオオオオオオオオオ。
魔剣ちゃんの言葉が正しければ存分に空間の魔力を喰らったその剣身は何十倍にも膨れ上がっていく。そうして精製されたのはドラゴンに体躯に匹敵するほど巨大な紅蓮超弩級大剣だ。
「どっせええええええええええええい!!!!!」
ズパンッッッッッッッッッ!!!!!!!!!
剣術でも技術ですらない。ただただ力任せに振り下ろされた
◆
「バ……カ、ナ……」
首を一刀両断されそのまま自由落下していく龍頭はそう呟き絶命した。
「……にわかに信じがたい光景ね。改めてここが異世界だと実感するわ」
「それな。未だに自分がこれをやったなんて信じられない件について」
陰キャなのに異世界転移したと思ったら陰キャなのに聖剣引き抜いたり。
挙句の果てに陰キャなのにドラゴンを討伐したりと。陰キャの所業じゃねぇよこれ。自分の数少ないアイデンティティがぐらぐらしている気がしてならない。陰キャ故に我あり……それはそれで嫌だな。
『ちょっとちょっと~~~! 一番活躍した魔剣ちゃんのこと褒めてよねっ!! これだから気の利かない童貞マスターは駄目駄目ねっ。ざーこ♡ざーこ♡』
魔剣ちゃんは相変わらずのメスガキっぷりである。そろそろそのキャラ設定、脳がバグりそうになるからやめてほしい。
『おっと! ナイスアシストをした超絶優秀美少女聖剣ちゃんの活躍も忘れてはいけませんよマスター!!』
こいつはこいつで揺るぎねぇなぁ。
「……ん?」
「どうかしたのかしら?」
「あ、いや。体の調子がなんか……」
悪いわけではない。むしろ血行とかは滅茶苦茶良く感じる。心なしか体中がポカポカしているような気がしなくもない。
そんな自分の体の変化に首を傾げていると、
『レベルアップしました』
突如としてそんな音声が脳に直接鳴り響いた。
えっそういうシステムな感じ?
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