転生龍の異世界復讐譚 〜暴虐の龍は鮮血に染むる〜
春yama
プロローグ
長らくお待たせしました。
お久しぶりです春yamaです。
長くなってしまいすみませんようやく投稿できました!
今回は主人公の転生直後を詳しく書いてみました。
かなりコミカルな内容ですが途中から前作のようになるのでお気をつけください。
また、前作と似た内容になりますが物語の進み方などは異なります。
けれども私春yama一生懸命書きますので応援してくださるとありがたいです。
—————————————————————
深い深い森の奥、その洞窟。
一匹の龍が絶望に打ちひしがれていた。
目の前に広がるのは真っ赤な血の池。
鉄臭い匂いが遠慮もなく鼻を刺す。
そこにあるのは元の形がまるでわからない肉の塊があるだけだった。
龍は叫ぶ、何故だ、と。
だが耳に入るのは洞窟内で何重にも重なり響く自身の声のみ。
剣や魔法、魔物が蔓延る誰もが憧れるファンタジーの異世界。
たった1人で異世界に転生させられた龍にとってこの現実はあまりにも非情であった。
—————————————————————
俺は普通の社会人。
一応有名と言われる大学を出て大企業に就職し、その社員として毎日働く普通の社会人だ。
仕事もだいぶ軌道に乗りこのままいけば出世コースには間違いなく入れるだろう。今の生活にはとても満足している。
はい、嘘です。
実を言うと彼女いない歴=年齢の悲しき男である。
なぜだ、なぜなんだぁ。
しかもこういう時に限って、
俺は視線を前に向ける。
そこにはいかにもなカップルがいちゃついていた。
ただでさえ憂鬱な月曜日の出勤がもっと嫌になるのであった。
はぁ、どこか異世界に転生して、チート能力でモテモテ生活送れないかなぁ。
なんてラノベにハマった高校生のようなセリフを思い浮かべながら進めと言っている信号の通り横断歩道を渡っていく。
けれども実際その通りだ。別に顔がいいわけでもずば抜けて頭いいわけでもない。一応大手の出世ルートにはなりそうだけど
ただそれだけ。熱中する趣味もなければ相手もいない。
つくづく思うけど、何か刺激が欲しいよなぁ。
このままだと悲しき一人暮らしマンだぞ . . . 。
なんてくだらないことを考えていると、一瞬だった。
おそらく急いでいたのだろうかギリギリで横断歩道に突っ込んできた車が一台いた。普段なら危ないなぁと思いつつ止まるが、今回は考え事をしていたためすぐ隣にある「死」に気が付かなかった。
「あ、危ない!避けろぉ!!!」
「え?」
気づいた時には、俺の体は宙に放り出されていた。
身体中、今まで感じたことのない痛みが襲う。
「キャァァァァ!!」
「き、救急車っ、救急車を!」
「おい、しっかりしろ!」
地面に打ち付けられ、意識が朦朧とする。
地面に広がる朱色を見ながら考える。
あぁ、いよいよやべぇこれ死ぬな。
クソぉ、最後は子供と孫に見られながら、って決めてたのになぁ。っておい、まだあのラノベの最終巻読めてねえって。
したいことも山ほどあったのに…。
そんなことを考えていたら視界がだんだんぼやけてきた
こんなことなら、ちゃんと、生きるべきだったな。
せめて来世では剣と魔法のファンタジー世界で最高なチートライフを、なんてな。
だんだんと俺の視界は黒く染まる。
そして俺の意識はシャットダウンされた——。
(暖かい、なんだここは?)
ぼんやりとした意識の中考える。
よし、一旦整理しよう。
俺は一人暮らしの一般的な悲しき社会人、会社の通勤途中に横断歩道で暴走した車に撥ねられて死んだ、はずだ。
よし、きちんと覚えている。
ならばここはどこだ?
視界はぼやけていて何も見えない。
そこで、俺はいくつか仮説を立てた、
1、俺はかろうじて生きているが意識が朦朧としている
2、すでに俺は死んで走馬灯らしきものを見ている
3、天国とか地獄とかよくわからない世界に飛ばされている
. . . なんだか幼稚な気がするけどもこんなところだろう。
俺は早速試すために腕を動かそうとした。
1なら誰かしら反応してくれるだろうしな。
そう、動かそうとしたのだ . . . 。
. . . あれ?俺、腕なくね!?
全く腕の感覚がない、いや、これは腕がない!?
いやいや待てよ、よく考えると足なんか変じゃね?なんか繋がってる。
これは、芋虫、いやいやそんなわけないそんなわけない . . . よな?
えー、もしかしてあの事故のせいか?
勘弁してくれよ。俺の仕事はデスクワークってのに。
幸いにも体は動くから植物人間状態ではないのだろう。
腕がないから次に上体を起こした。
「あたっ!」
と、その瞬間鈍い痛みが頭に走った。
頭が、少しクラクラする . . . 。
なんだ?なんか硬いものにぶつかったが
上体を動かしてみると俺の周りに硬い何かがある。
いや、正確にいうならば何かの中に俺がいる?
いよいよわからん。
とにかくここから脱出するべきだよな。
腕は、まぁなんとかなるだろう。
そう思った俺は思いっきり硬い何かに向かって頭突きをした。
あぁ、いってぇ。
ピキッ
だがよくみると硬い何かにヒビが入っていた。
よしこれならいける。そして俺は力を振り絞り硬い何かを突き破った。
「おりゃぁぁぁ!って眩しっ!!」
それを突き破ると強い光が目を差した。
今までくらい中にいたせいか余計に眩しい。
あぁ、目がぁぁ、
しばらくのたうち回っていたがようやく目が慣れ、あたりがまだぼんやりとはしているが見えるようになった。
まず見えるのは木、見渡す限り木、木、木。
なるほど、俺は森の中にいるのかぁ〜。
大自然の空気は美味しいぜぇー。
は?
いやいやちょっと待てよ。俺の住んでる場所、森とはかけ離れた周りにマンションしかない場所だぞ!?
なんで森なんかにいるんだ?
何より一番驚いたのは俺が出てきた硬いものだ。
. . . 卵?
え、俺知らない間に胎生から卵生の動物になったの?
まぁ、ひとまず俺は人間ではない何かになってしまったんだな。それも前世の記憶持ち。
とりあえず、どっか進むかっ. . .!
その時だった。俺は動けなくなった。
何か引っかかったとかそういうものじゃない。
体が、動かない。
目の前に狼がいる。
しかも幼い頃図鑑で見たようなあんな狼じゃない。
漆黒というのが相応しい黒い体毛に三メートルはあるだろう巨大。真紅に光る眼は確実に俺を獲物として捉えている。
身体中の細胞が今すぐ逃げろと警告信号を出しているのに、あまりの恐怖に体が動かない。目の前にあるのは死だといやでもわかる。
ははっ、せめてこの体が何なのか分かってから死にたかったな。二度目の人生寿命数分とか不幸すぎんだろ。
思わず乾いた笑みが出てくる。
覚悟を決めこのまま食われるくらいなら何か反撃でもしてやろうと思っていると。
「貴様、我の縄張りで何をしている」
声が聞こえた。
少し怒りを含んだ声は俺ではなく目の前の狼に向けられている。だけれどわかる。この声の主はやばい。目の前の狼なんか蟻を踏み潰すくらい簡単に倒せる。
「骨すら残らず消えたくないならば、とっとと立ち去れ」
狼は脱兎の如くその場を立ち去った、
た、助かった。のか、
俺は恐る恐る後ろを見るとそこには龍がいた。
俺は思わず口をぽかんと開けてしまった。
綺麗な空色の鱗に全身を包まれた龍。
思わず見惚れていると龍が俺に顔を近づけてきた。
あ、食べられる。
と、目を瞑ると優しい声が返ってくる。
「ようやくお目覚めか、我が息子よ」
え?息子、俺が?
頭の中がハテナマークだらけだが目を開けてみるとしっかり俺をみている。
あぁ、なるほど
俺はその瞬間理解した。
そう、目の前の龍の目には、空色の鱗に包まれた蛇が口を開けて写っているのだから。
「え、え、はぁぁぁぁぁ〜!?」
俺は普通の社会人。
ある日、車に撥ねられて死んでこの世界で、
龍として転生したらしい
—————————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございます。
もし続きが気になる!
と思ってくださいましたら
評価やブックマーク、感想などをお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます