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私の右手を引き歩きだした譲の隣で私も歩く。
「今日何したいんだよ?」
「映画観に行こうよ!!」
「嫌だよ、お前どうせ恋愛映画だろ?
あんなの観て何が面白いんだよ。」
「面白いじゃん!!
男女のジレジレの恋愛模様とハッピーエンド!!」
「あんな作り物の映像よりも俺がいるだろ、俺が。
実物がすぐ隣にいるだろ。
結構格好良い俺がいるのに何が恋愛映画だよ。」
「はいはい、会社でモテモテなんですよね?」
「モテモテまではいかないな、“モテモ・・・”くらい!!」
そんな言葉には大きく笑ってしまった。
「じゃあ漫画喫茶行こうよ!!
恋愛漫画見たい!!
この前行ったらカップルシート楽しかったじゃん!!」
「あれは無理無理!!
エロいことしたくて我慢するの大変だったんだよ。」
「最低~・・・。」
「だから我慢してただろ、最低にならないように!!」
「譲とデートするといつもそればっかりだからな~。」
「じゃあ、誰とのデートはそればっかりにならないんだよ?
俺以外ともデートしてるのか?」
「知らな~い。
譲だってどうせ他の女の子とデートくらいしてるでしょ?
“モテモ・・・”な男らしいし!!」
「“モテモ・・・”な男だからな、デートくらいはするな!!」
「うわ~、最低~・・・。」
「その最低な男の彼女だろ、お前。」
「そうだよね、だから私も最低な彼女なんだよね。」
譲に引かれた右手を少し強く握ると、譲はそれに返してくれた。
そして、着いた先は・・・
映画館。
「俺、こっちのサスペンス観たい!!」
「今日は譲が観たい方を見るけど、次は私が観たいやつね?」
「了解です!今度は恋愛映画な!」
「そう言って恋愛映画見てくれたことないけどね。」
「俺、すげー最低じゃん!」
「だからさっきから言ってるじゃん。」
そんないつものやり取りをした後に2人で映画館に入った。
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