謝罪ダンジョン攻略!


 お寿司を食べ終えて、その美味しさに満足したカロナは、まったりと食後の緑茶(現実では水道水)を嗜んでいた。湯呑をつかって飲むとなんとなくお茶の風味がする気がするから不思議だ。


「というか、元々謝罪配信だったはずなのに、普通にお寿司を食べて優勝してしまいましたわ……! これ、反省になってませんわね……スパチャも貰ってしまいましたし」


 これって良いのかしら、いや良くないですわ! とミカドお姉様への反省を示すためにやはり何かしら罰を感じたい、そんなカロナだ。

 そんな中、一個のコメントに目が向いた。


[@FE_Sofiya]:”なら、苦手なリドルダンジョンに行ってみるとか?”


「お。そのアイディアいただきですわよ!」


 というわけで、コメントのアイディアを採用し、改めて謝罪として――普段行かない、謎解きを含むダンジョンに行くことにした。

 行くダンジョンをコメントに推薦してもらい、選ばれたのが、以下のダンジョンである。


 ●ダンジョン情報『謎解き暗黒館』 ソロタイプ

 タイプ  :屋敷型

 属性   :闇

 賞金   :500円(初回のみ)

 レート  :1HP=1円

 突入条件 :初回プレイ時、挑戦料1000円

 追加ルール:未プレイの人向けに、ネタバレは控えてくださいね!


「なんですの、この良く分からないダンジョン……賞金500円、挑戦料1000円って。絶対に赤字。でもってレートが1円って、最低金額ですわね」


”知らないのかお嬢。配信者なダンジョン攻略者に人気のダンジョンなんだよ”

”フッフッフ、暗黒館へようこそ”

”賞金と挑戦料の差分500円はこのダンジョンを遊ぶためのプレイ料金だね”


「プレイ料金……って、つまりこのダンジョンって普通にゲームなのでは?」


”まぁ実際その通り”

”BCDって開発プラットフォームが充実してるから、こういうVRゲームみたいなダンジョンも結構あるんだよ”

”まぁ元々BCD作ったのってゲームクリエイターの外狩だしな”


 なるほど、とカロナは納得した。ダンジョンを作るダンジョンマスターは、つまるところクリエイター、創作者だ。VRRPGのようなダンジョンを作るついでに、他のジャンルのような世界を創造したくなっても仕方ない。

 そしてそれが可能な下地があり、実際できるのだからやるしかない。


”あと配信プラットフォームと違ってマージンほぼとられないのと、違法DL対策にもなってるというのが強い。ダンジョンはBCDでないと遊べないからね”

”こういうの目当てにBCDを初めてダンジョン攻略者になるルートもある”


「地味に切実な理由! そして普通に有用! Win-Winですのねー」


 と、それはそれとしておいといて。普段のダンジョンに潜るのと同じように、『エントリー』のボタンを押し、ダンジョンへと向かう。初回挑戦料1000円を支払いますか? という確認ボタンが出たので、そこは『はい』を選択した。

 1000円という金額に若干指が震えたが、スパチャをいっぱい貰えていたのでなんとか押すことができた。


「カロナ、いきますわー!!」


 こうしてカロナはダンジョン『謎解き暗黒館』に潜った。



 錆びた鉄の門がゆっくりと開かれ、歪んだ影が門をくぐる者たちを迎える。館の建物は古びた石造りで、ゴシックなデザインが怪しくそびえ立つ。館の周りには荒れ果てた庭が広がり、蔦が壁を覆っていて、草木が凋落した様子が一層不気味な雰囲気を醸し出す。

 夜でもなく昼でもない微明な空の下、月明かりが不気味に館を照らし出している。建物の窓からは弱々しい光りが漏れ、庭に散らばる古びたランタンが不安定な灯りを提供する。

 風が吹くたび、建物からはかすかな悲鳴や物音が聞こえ、まるで館自体が生きているかのような錯覚を覚えた。


「って、ホラーゲームみたいですわねッ!?」


”そうだが?”

”謎解きガンバってね、お嬢”

”ゾンビ出るよゾンビ。しらんけど”


「ぴぇん……」


 そしてカロナはホラーゲームはどちらかと言えば苦手であった。



―――――――――――――――――――――――――――

(以下お礼とお知らせ)

 @tam323さん、じょあ坊さん、くさしげ煉牙さん、@FE_Sofiyaさん、コテハン使用許可ありがとうですわー!

 さりげなく過去に遡って初スパチャとか差し替えたりしておきましたわ!


 あと申し訳ないのですが、ちょっと別作品の書籍化作業で締め切りがやべぇのですわ! 更新速度はそれに伴って落ちてしまいますわね……!

 でも週一以上は更新しますわよ、多分、きっと、おそらく! できればッ!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る