第46話
「このホテルの電話で軍の施設と連絡が取れるのかしら?」
シャロンはホテルのラウンジにあるソファーでクッキーを摘まみながら私に尋ねた。
「軍用のコードがあればできると思いますが、私ので可能かは分かりません。どこと連絡を取りたいんですか?」
「シモン・マグヌスが住んでいた町よ。どういった人間だったか知りたいの。町の駐在とか知っている人もいるかもしれないでしょ?」
「なるほど」
どうやらまだ事件を解く気はあるみたいだ。それにはホッとするが昨日の実験と言い、私には意図が分からない。
「新しい城か古い城。どちらかに行けば制限なしで使わせてもらえると思います」
「どちらの方が近いの?」
「近いのは王がいらっしゃる方の城ですが……」
「じゃあそちらに行くわ。電話を使えるようにして。それとルイスとかいう男の情報が入ればこちらと共有するよう言ってちょうだい」
それは可能だろうが、できれば王のいる城には行きたくなかった。
「こ、古城の方が馴染みもありますし、ローレンスに言えば色々と手際よく準備してくれますよ?」
「でも遠いんでしょう? 疲れてるからそっちじゃなくていいわ。車はある?」
「タクシーか、私が軍の車を借りて運転すれば」
「じゃあここで待ってるから借りてきて」
シャロンはそう言うとふかふかのソファーに体を沈めた。
私は小さく嘆息して「分かりました」と答えた。車を借りるために受付へ行くと従業員とすれ違った。従業員はシャロンの元に行くとこう言った。
「昨日お尋ねになったことですが、そういったお店はナルンにないとのことです」
「……そう。分かったわ」
どうやらなにか聞いていたらしい。でも店ってなんの店だ?
一つ分かるのはシャロンが小さく溜息をついていたことだけだった。
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