第20話 大丈夫②

「知らなかったです」



昴が嫌がらせを受けていた事を同じ屋根の下で一緒に暮らしていながら、俺は何も知らなかった。



「そうだったんですね。それなら、もっと強く病院を進めるべきでした。すみませんでした」



光島さんは、俺に深々と頭を下げてくる。



「頭上げてください。あの昴は、病気だったんでしょうか?」

「詳しくは、通院されなかったからわかりませんが……。先輩が彼女と似てるから病院に行かさないと駄目だって言って……。仕事中、ぼんやりしてたり無気力だったり上の空だったり……。最近は、無表情になる時も多かったんで」



光島さんの言葉に、昴の心が壊れていたのがわかった。



「気づいてあげられなかった」



俺は、足に力が入らずに崩れ落ちて泣いた。



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