(自由人+自由人)×20年=0

かりんと

ドライなふたり

 彼と初めて出会ったのは、大学のキャンパスだった。

同じ学科で同じゼミ。

お互い、サークル等には入らず、バイトに精を出していた。

同じブランドのジャンバーを所有し、近所のチェーン店の激安居酒屋の常連客。

行きつけのコンビニもいっしょ。


とにかく、よく会う。

必然的に付き合い始め、彼が私の家に転がり込むまで、そんなに時間はかからなかった。


お互いドライな性格で、あまり干渉もせず。

体の相性ってやつも悪くはなかった。



 当時、私には夢があった。

英語やフランス語を習得し、外国のしかも南国の観光地でガイドでもやりながら、現地の人達に溶け込み、ガツガツなんて働かず、悠々自適に、ビーチサンダルで一生を過ごしたい。

そんなことを夢見ていた。


 それは、たぶん、私の家庭環境からきているものだ。

父も母も働き者で、尊敬はしている。

しかし、節約家で、今やお金が貯まることよりも、節約そのものに楽しみを見出している。遊び心がない。


同じ大学の女の子達が、一人暮らしの部屋をピンクで統一とかキャラクターの商品で統一とかで、可愛らしい部屋にしているが、私の部屋は質素で飾り気もない。

これも、両親の影響か?


 でも、彼は何も気にしない。

転がり込んでくる時も、バックパックに着替えと生活用品少々のみ。

しかも、自分のアパート代が勿体無いからと言って、早々に解約。

母子家庭で育ててくれたお母さんに、

「俺、彼女と暮らし始めたから、もう家賃は振り込まなくていいから」

と報告した。


どういうことだ。

ヒモ宣言か?


それに、大学入ってまだ3ヶ月。

それで、彼氏と同棲始める女の子って、どう思われてしまうのか。


そんなこんなで始まった、彼との同棲生活。

質素な生活、バイト漬けの日々、海外への憧れ。同じような価値観を持っていて、楽しかった。


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