第11話
ダンジョンを順調に進むこと数分、特に何事もなく進んでいる……わけではなく、色々ありながら進んでいる。
進めば進むほど魔物が増え、僕たちとともに並んで進んでいるのだ。
:初見です、大人数のパーティーですね()
:スライムにゴブリン、オークにコボルト……
:百 鬼 夜 行
:もう驚かんぞ……w
:これこそがサクたんクオリティーッ!!!
:あまみやちゃんもはや無表情で草
:流石に慣れるだろうなww
「もうこれで上層もお終いね。ここから気を引き締めて行くわよ」
「ジョウソウ……って何ですか?」
「……ダンジョンは上層・中層・下層・深層の四つの領域に分けられるの。難易度がどんどん上がってくって感じよ」
「なるほど。ゲームの一の面とか二の面とかですか」
「まぁそんな感じね」
一の面は賞味肩慣らし程度。二の面から洞窟ステージや敵キャラが増えてくるとゲームで知っているからね。
風に簡単に飛ばされそうな羽毛のような思想を持ちながら、中層へ行くための階段を降り始める。
――カチッ。
「「ん?」」
足元から変な音が聞こえたので見てみると、スイッチのようなものを押してしまっているようだった。
――ゴゴゴゴ……!!!
「あはは、典型的なトラップですね」
「呑気ね。まぁ私もだけど」
「あの映画の有名なシーンですね!」
「ああ、そんなのもあったわね」
:コイツらなんでこんな冷静なの!?
:タヒぬぞ!
:笑ってる場合じゃねぇww
:何語り合っとんねん!!!!
階段の上からは巨大な丸い岩が転がってきている。それを見て僕はケラケラと笑い、あまみやさんは鼻で笑っていた。
隣で手をかざして魔法を発動させようとしているが、そこまで手を煩わせるほどではないだろう。
「ピョン左衛門」
『キュイッ!!』
僕が名を呼ぶと、地面で待機していた金色のウサギ飛び出す。くるくると回転しながら岩に突進し、ドロップキックで岩を粉砕した。
「よしよし。偉いねピョン左衛門」
『キュイ〜♡』
:うさちゃんTueeeeee!?!?
:粉砕! 玉砕!! 大喝采!!!
:ただのうさちゃんじゃねぇなこれw
:名前ピョン左衛門なんだw
:ウサギかわよ♡
:まさか幻獣か……?
:んなわけw
:あり得ーるでしょ……
:解説ぷりーずみー!
自慢の脚力で岩を粉々にしたピョン左衛門を見て、リスナーさんたちは大盛り上がりしているようだった。
そういえばこの子の紹介をしていなかったし、あまみやさんに説明してもらおう。
「このウサギは幻獣――〝
「そういえばピョン左衛門、僕が転ぶ時によくそのハンマーで地面殴ってたね」
『キュイキュイ』
えっへんといわんばりに胸を張るピョン左衛門。うへうへとヨダレを垂らす勢いで笑いながらピョン左衛門を見るあまみやさんとは少し距離をとった。
:幻獣ってそんなポンポン現れるもんなんすかね……?w
:んなわけねぇだろ!w
:やっぱこの子のおかしいよ……(褒め言葉)
:【速報】サクたん、幻獣ハーレムを作り上げていた
:じきに慣れる時が……来るのか?
:適応しろ、必要だろ
:ガコンッ!(適応音)
:あまみやちゃんのこんな顔初めて見たぞww
:デレッデレで草
:サクたんに近寄らないでくださいw
「そういえばみんなに紹介してなかったから今しよう。昨日出会った
『シュー……』
『ピィー?』
:気付かず飼ってたマ???ww
:普通気づくだろ……
:アマガミヘビってはっぴーになりながら脳溶かされるやつやんけ!
:用法用量守ったら大丈夫やで
:↑まず目撃例がないので使えませんw
:社畜です。アマガミヘビちゃん貸してください……
:ふつうに欲しいぞw
どうやらシラハは人気の幻獣らしい。もふもふで可愛いし羽まで生えてるから可愛いしね。
「シラハちゃん可愛いわね……」
「首に巻いてみます?」
「する!!!!」
:迫真で草
:どんだけ好きなんだw
:前から動物好きだったけど、サクたんと関わってから拍車かかってきたな
:目が怖いよぅ……
:シラハちゃん若干嫌がってるww
:ダンジョン内とは思えないほど呑気
「あ……うわぁ、もふもふ……♡ もう無理っ……スゥーーッッ!!!!」
『!? シャーッ!!!』
シラハをあまみやさんの首に巻くや否や、辛抱たまらん感じになって自分の鼻に近づけ、吸引し始めた。
俗に言う『猫吸い』みたいなものだろうか。なんにせよ、シラハがめちゃくちゃ嫌がっている。
「えへへ♪」
いつもの氷のような表情は一切なく、花が咲いたような可愛らしい笑みを浮かべていた。
:可愛い
:かわ
:シラハちゃん耐えて……w
:幻獣に不敬だぞww
:あまみやちゃんの奇行、切り抜き班出撃致すw
一応あまみやさんにさ配信やダンジョン、幻獣について教えてもらっているし、ここは好きにさせてあげよう。
ごめんシラハ、もう少し耐えててね……。
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