《神殺し》の少女は、遠い宇宙の夢を見る
一式鍵
第1話:上空一万メートルにて
敵だらけだ。見たこともないほどの数の、
レーダーには無数の敵性反応があった。ゼタと呼ばれる、神出鬼没の謎の人型戦闘ユニットたちだ。
戦闘はすぐに開始された。圧倒的な数のミサイルが押し寄せ、その直後には無数のエネルギー弾が送り込まれてくる。戦艦の防御フィールドがなければ今ので消し炭になるところだった。だが、戦艦のジェネレータも今ので悲鳴を上げたはずだ。もう同じことはできないだろう。
前に出て乱戦に持ち込むしかない。
私は機体を前に進ませる。僚機も横一列に並んでくる。
『何体いるんだ、これ』
『ざっくり三百』
『マジかよ……』
同僚間の会話を聞きながら、しかし私は違和感を
にも関わらず、私はその結末に向かって動いている。止められない。
夢……と言ってしまえばそうなのかもしれない。
けど、それにしてはあまりにも生々しい。
私は機体に何事かを命じる。機体の背中に翼が生じる――見えていないのに、私はそうと知っていた。
「行くぞ!」
だめだ。行ってはいけない。行ってはならないのだ。
ゼタは無数に湧いた。倒す数より増える数の方が多かった。
その中心に奴がいた。
「大佐、お前の目的は、なんだ!」
毒々しい色合いの機兵――病める薔薇。見間違えるはずもない。あの男の専用機だ。
だが私の前に立ち塞がるゼタによって、私は大佐に近付けない。
『――この宇宙を終わらせる』
「
だが私は知っている。この男にはそれができる
そんな私の思いをよそに、状況は進んでいく。私の機体が私に囁く。
『モード・イシュタル、レディ。――スカーレット、一撃を』
「悪いね、付き合わせてしまって」
『これが最期だというのなら、私は幸せです、スカーレット』
エネルギーで生成された長大な刃がゼタを文字通りに
「大佐ぁッ!」
『メビウスは終わる……』
まだ言うか!
私の機兵が持つ剣が、病める薔薇の刀と激突する。
刃が交錯するたびに時空震が引き起こされる。
だけど、ああ、だめだ。そうじゃない。
そうじゃないんだけど、私には正解が見えない。
私はただ、剣を振るうだけだ。私には本当にそれしかできなかったのか。それで良かったのか。
――わからない。
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