曲がり角の悪夢

 とある日の朝。通学中の私は溜め息を吐いた。


「はぁ……憂鬱だなぁ」


 私は正夢なんて信じるタチではない。でも、今日の夢は妙にリアルだった。

 通学路の途中にある曲がり角。そこで真っ赤な車とぶつかる夢。思い出しただけでも寒気がする。

 そんな事を考えてるうちに、私は例の曲がり角へとたどり着く。


「きっと、夢だよね」


 そうやって恐る恐る一歩を踏み出した私の足に、何かがコツンと当たった。近所の子供が忘れていったのだろう。それは、真っ赤なミニカーだった。


「なぁんだ。夢と大きさ全然違うじゃない」


 ホッとした私は、足取り軽く学校を目指した。

 次の日。私の目覚めはよかった。何故なら、すごく良い夢を見れたからだ。あの曲がり角でイケメン転校生とぶつかる夢だ。


「今日こそ正夢になったらどうしよう?」


 そこから恋に発展したりして……そんな妄想をしながら、私はまたあの曲がり角へと飛び込んだ。

 結果から言えば、それは正夢になった。ただ、問題だったのはそのイケメン転校生が、異星であるジャイアント星からの留学生で、身長が7メートル以上あったことだ。


(な……んだ。夢と、大きさ……全然、違う……じゃ……)


 私はイケメンの巨人に吹き飛ばされながら、そんなことを考えていた。

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