身辺整理

天野 周

1

彼女は二十歳にして、終活を始めた。


「何事も始めるのは早いほうがいいわ」


「今しなくても、もう少ししてからでも遅くはないと思うけど」


ぼくの言葉を押し切って、彼女は相続先まで決めてしまった。

ずいぶん身勝手な彼女だが、そんなところも全て、ぼくは彼女を愛してしまっていた。

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