第30話 第8エリア、解放



「さて、これで第8エリアの管理責任者を倒してしまったわけだが……」



「第2、第3のピックルスが出てくるかもしれんの」



「いやそれはクソダルいな」



 一生第8エリア解放編で終わっちまうじゃねえか。マシュマロ林ホワイト先生の次回作にご期待ください!



「ん~? なんかあった!」



「どうしたフレイム?」



「これ!」



 フレイムがピックルスの傍に落ちていたカードを拾ってくる。



「なんだこれ……?」



 カードには第8エリアのマークが描かれている。見た目ICカードっぽいけど……



「それは第8エリアの管理カードよ~」



「!? だっ誰だ!!」



 振り向くとそこには……巨大なオニオンヘアーをした熟女が立っていた。



「……え? 若返った2Pカラーの黒柳〇子さん?」



「誰じゃそれ。こやつはな……」



 熟女は燃えるような赤髪を軽く撫でると、静かに話し出した。



「どうも~国王サイザーの母、クラウトです~。いつも息子がすみません本当に」



「お、王様の母親!?」



 な、なんでこんなとこに!? くそっ! ステージ2でいきなりラスボス来ちゃった感!



「クラウト、久しいの」



「あら~? お嬢ちゃん、私と会ったことあるかしら?」



「拙者、デビルアイランドの王をやっておる者じゃ」



「あら? あらら~? もしかしてサタン君? 随分とかわいらしくなっちゃったじゃな~い! 飴ちゃん食べる? となりのケモ耳お嬢ちゃんもどうぞ」



「いらん!」



「ありがと~!」



 クラウトはサタンの頭を撫でながらはしゃいでいる。久々に法事で会った親戚のおばちゃんかな?



「サタン、なんでこの人の事知ってるんだ?」



「最初にルナが言ったじゃろ? エール王国は、今の国王になってから魔族と敵対するようになったって」



「ダーリンが生きてたときはたまに遊んだりしてたのよ~。最近デビルアイランドはどう?」



「閑古鳥が鳴いとるの」



「やっぱそうよね~本当ごめんなさいねえウチのサイザーちゃんが」



 クラウトさんは魔族を嫌ってはいないのか。てか、前の国王は亡くなってしまったんだな……それでサイザーに……



「その、クラウトさんの権限で今の圧政を辞めさせることって出来ないんですか?」



「基本的にこの国の全権は王が握っておるからの。母といえども難しいじゃろう」



「それに、サイザーちゃんも昔は魔族と仲が良かったんだけど……急に人が変わったようになっちゃって」



 国王になる少し前から、サイザーはまるで人格ごと誰かと入れ替わったかのようなレベルで性格が変わってしまったらしい。



「説得しようとしたこともあるんだけど、急に怒り出したり、部屋にこもって話してくれなくなったりしてねえ。30手前にもなってまだ反抗期なのかしら」



「うわあ」



「まるでマシュマロ林みたいルナ」



「俺と一緒にするな」



 部屋にはこもってたけど床ドンもしないし、母ちゃんのメシは文句言わずに食ってたぞ。



「今の私には何も権限はないのよねえ。私が管理する第3エリアの国民にはデビルアイランドへの入園を許可したり、こっそり第6エリアにいるレジスタンスの資金援助をしたりしているくらい」



「いや結構やれることやってますやん」



 てか第6エリアにはレジスタンス勢力がいるのか。そのうち共闘できるかもしれないな……



「そういえば、このカードのことを知っているみたいでしたけど」



「ええ、それは管理カードといって、この第8エリア管理局の全権限を付与されているわ。ピックルスを倒して手に入れたのね。中々やるわね~あなた達」



 このカードがあれば、俺たちの手で第8エリアを管理することができるということだ。



「あなた達、プリティ☆デビルといったかしら……よかったらこのまま、他のエリアも解放していってくれないかしら~」



「まあ、元々拙者たちも管理エリアの解放は目的の1つじゃからな。このままやっていくだけじゃ」



「ありがとう。それじゃあ、私の方から少しサポートさせてもらうわね」



 解放した管理局の新たな運営には、クラウトさんの息のかかった者を設置してくれるという。

これで第8エリアが再び圧政に苦しむこともない、という訳だ。



「サタンちゃん、次はどうするの?」



「そうじゃのう……どうするんじゃ? ルナ」



「決定責任の横流しルナ。とりあえず、隣の第7エリアなんてどうですかルナ?」



「ふむ、それじゃあ次は第7エリアの解放を目指すとしようかの」



 第7エリアか。管理者がピックルスやビネーガみたいな変態じゃないと良いんだが……



「第7エリアの解放を目指すのなら、1つお願いしたいことがあるのだけれどいいかしら~?」



「む、なんじゃ?」



「第7エリアにある大教会に私の協力者のシスターちゃんがいるんだけど、少し前に密偵行為がバレて管理局の牢に幽閉されているらしいのよ~」



「なるほど、その子を助け出して欲しいってことだな」



「ええ、お願いできるかしら~」



「任せるのじゃ! 必ずや助け出して、仲間に引き入れてやるのじゃ!」



 こうして第8エリアを解放した俺たちプリティ☆デビルは、第7エリア解放の為、まずは管理局に幽閉されているというシスターを助け出すべく行動を開始するのであった。

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