第6話「覚悟のミランダ」

「アリス…」

 ソラがうつむきながら言う。

「僕は、人を殺したくない。怖いんだ。」

 ミランダがアジトから走り出て来た。


「ソラ、あなたが出来ないなら、私が殺るわ!デリーズ、お前が私の家族、一族を無差別に殺したんだから!私にはもう、失う物なんて何もない。帰る場所さえも!」


「うああ――!」


 ミランダは、隠し持っていたナイフを構えて、叫び声をあげながら、決死の覚悟でデリーズに向かって行った。

「ミランダ!」

 デリーズは、にやりと笑いを浮かべ、弾丸をミランダに向かって二発撃った。


 バシュン!バシュッ!


 彼女の右側の髪が撃ち抜かれ、光にあたって、はらはらと煌めきながら舞い散った。

『片方では、格好が付かないだろう?俺は、女に優しいんだ』


 バシュ、バシュン!


 ミランダの綺麗な肩までの金髪は、デリーズの弾丸に撃ちぬかれ、短髪の姿になってしまった。

 ミランダは、涙を溢れさせ真っ青になり、ガタガタと震えている。


『あんたねえ!女の子に何すんの!?髪は、女の命なんだから!』


 アリスがいつもの姿なら、顔を真っ赤にして、怒号を響かせて怒っているだろう。

 ソラは未だ、うなだれてぶるぶると震えている。


 その姿をみて、アリスの怒りが頂点に達した。


『馬鹿ソラ!あれを見てもまだ!』


 言いかけた時、ソラは静かに口を開いた。


「アリス、僕のサポートをしてくれ。」

『え!?』


 顔を再びあげたソラは、憤怒ふんぬの色に染まっていた。


『ソラ?』


 アリスは背筋がゾクリとした。のんき者で優しいソラ。こんなソラをアリスは知らない。

「アリス、サポートを!」

 ソラが強い口調で言った。


『は、はいっ!』

 アリスはビクッと肩を震わすと、ソラにガンマンの記憶と能力を送った。

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