第2話「砂漠のオアシス」

 登場人物紹介


 ソラ=クロックス 男 人間 13歳

 主人公。砂漠の村テルに住む少年、町にあるギルド酒場に所属しているガンマン。

 しかし、銃はあまり得意ではない。のんきな性格で女の子には弱い。


 アリス 女 AI搭載アンドロイド 製造されてから5年(5歳?)

 ミランダいわく、めずらしいAI搭載フェアリー型アンドロイド。

 銀髪で美人、スレンダーな整った容姿をしている。

 性格は一見、焼きもち焼きで我がままに見えるが…


 ミランダ=ミラー 女 人間 14歳

 砂賊団の賊長、デリーズに追い詰められていた愛らしい少女。その理由とは?

 デリーズから、助けてくれたソラの事が気になっているようだ。





 いつの間にか日は、とっぷりと暮れて夜になっていた。

 デリーズから逃れ、夜の砂漠の温度差に耐えながら、ソラ達はやっとの想いで

 オアシスに着いた。

 着の身着のままで、逃げて来たソラ達だったが。

 ここは、泉があるおかげで快適でのどもうるおせる。


 洋梨のような形の黄色いノノンの果実も、なっているので腹を満たすにも最適だ。

 これは甘くて香りも良く、ソラも好物の果物だった。

 ソラとミランダ、アリス達は泉から少し離れた場所で野宿をすることになった。

 パチパチ

 たき火の温かさが、ソラとミランダの身体を温めてゆく。


 虫の鳴き声、水の音。砂漠の夜は静まり返っていた。

 暖を取り始めてから最初に口を開いたのは、ミランダだった。



「私は、ミランダ=ミラーよ」

「僕はソラ=クロックスだ。そっちのAIは、アリス」

「ねえ、ソラ。あなたは何で、見も知らずの私を助けてくれたの?」

「ん~?僕って、困ってる女の子を放っておけないタチなんだ。

 あまり、気にしなくていいよ」

「ふうん…そうなの?あなたって優しいのね。ありがとう」


 ミランダは、少し頬を染めてソラの目を見つめた。

「ああ、うん…」

 頬を染めて照れるソラにアリスは、むっとしなから二人の間に割って入った。

「ダメダメ~っ!こんな、へちゃむくれ。ソラは、アタシの物なんだからあ~!」



 いきり立つアリスにソラはため息をもらし、心底呆れた表情をした。

「この、AI搭載のフェアリー型アンドロイドね?私、初めて見るわ。

 だってとても、綺麗なんだもの」


 ミランダがまるで、妖精のように可憐なアリスの姿に目を輝かせて、まじまじと見る。



「やだっっ!そんな目で見ないでよ。アタシは、アンタなんか嫌いよ!」

 アリスは、ミランダに嫌悪感を示すような表情と言葉を投げつけると。

 そっぽを向いて、どこかへ飛んで行ってしまった。

「はは、アリス変な奴だなあ。あんなに怒る事ないのに」

 ソラはのんきにアリスが、飛んで行った方を見ながら笑っていると。


 彼の無神経さにミランダが少し、むっとしながら言った。

「私は、アリスの気もち分かるわ。女の子はね……好きな男の子にはいつも、自分だけ見てて欲しいと思っているし。

 他の娘と話ししていると、嫉妬するものなのよ」



「へえっ!?アリスが、俺のことを好き?まっさかあ~」

 ソラは頬を真っ赤に染めて一瞬、締まりのない表情でへらっと微笑んだ。

 その様子を見て、もしかしたらソラも、アリスの事が好きなのではと感じて

 胸がチクリと痛んだ。


 その頃のアリスは、樹木の枝の上に座ってまだ、ぷりぷり怒っていた。

「もう!ソラったら何よ。あんな、お子ちゃまにデレデレしちゃって!

 アタシの方が美人だし、ナイスバディなんだからっ」


 しかし、だんだんとアリスの勢いがなくなってきた。

「ソラのばか……」

 アリスの瞳から涙がこぼれ落ちた。



 彼女は、エネルギー不足で枝の上からふらりと落ちた。

 とその下で、アリスをタイミングよく受け止めた者がいた。

 何と、砂賊団デリーズのAI、マイキーだった。

「うふふっ!ソラの弱点、捕ま~えたっ!デリーズ賊長喜ぶぞ~!」


 マイキーは、うふふと嬉しそうに笑うとアリスを小脇に抱え、

 喜び勇んで、デリーズのアジトに戻って行った。

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