ヒトリゴト~幸来(サラ)の読書暮らし~

Koala(心愛良)

第1話 目指せ!オシャレ料理女子。

オシャレ女子。

観葉植物が飾ってあって

クロスなんか敷いてあるテーブルに

オシャレな食器が並んで手作りお菓子...


平々凡々な日常を求める

32歳の幸来(サラ)は

ちょっと生活充実してます感のある

SNS投稿に何度も憧れて

何度も挫折する。


挫折してからの切り替えも慣れたもので

懲りずに挑戦する自分にも(はいはい、また始まった)と客観的な感情を毎回抱く。


一体どんな時間の使い方をしたら

こんな暮らしができるのか全くもって分からない。

お腹に入ったら一緒であるという考えである以上、

きっと一生真似できないのだが、諦めずに繰り返すのが

厄介な性格だ。


今日のご飯は何にしようか...

部屋の本棚に立っている赤い背の1冊が目に入った。


新しい部屋に越してきて、

家電がほぼない中でとりあえずトースターを確保した。

なぜなら1980円で安かったから。


図書館でわざわざ『トースターで出きるお菓子』的なレシピ本を探し、図書館の本は汚すと嫌なので図書カードで同じものを購入した。

料理中に何かをとばして悲鳴をあげる自分が容易にイメージできる。


レシピ本の中で一番材料費のかからなさそうなものから買い出し。本当はチーズケーキを作りたかったが、お財布のハードルが高かった。


なんだかんだ揃えてる間に、冷蔵庫諸々譲り受けることができ格安で家の中が整った。


いざ、オシャレお菓子作り!


焼くまでの手つきは結構慣れたものでスムーズだ。(と、いっても市販のパイ生地を使ったパイだけど...)

自分の本だが、やっぱり汚すのが嫌で離れたとこに開く。

読んで、作業しているうちに本が閉じ、読んで、作業しているうちに本が閉じの繰り返し。


そんなことを繰り返しているうちにあとは焼くだけ。

どんなもんだと誰もいない部屋でどや顔をしてみる。




が、しかし...




待てども待てども焼けない。色がつかない。

なにか忘れたか?と思うが忘れてない。

コンセント入れてる!?自分がしそうなことを確認する。




考えて考えて考えて...1時間。




原因発覚。

またやった。

結果、大失敗。




そう、求める平々凡々な日常生活を

ハプニングだらけの日々に変える第一要因。


自分。




『トースターで出きるお菓子』

なんのためにトースター限定のレシピ本を探したんだ...


購入したトースターを使って料理するために買ったレシピ本のメニューを、譲り受けたオーブンレンジで疑うことなく温め続けていた自分に嫌気がさす。


チーズケーキにしなくて良かった...

そこだけ誉めよう。


とことん落ち込んだ後、

今度はジワジワと可笑しくなってきて

とことん爆笑。

これがいつもの一連の流れ。

慣れすぎて、こんなことでイラッとすることはない。



一度しか使われてないレシピ本は

いつかのために、今日も本棚で体力温存させている。


その いつか がやってくるのは一体いつか。。。

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ヒトリゴト~幸来(サラ)の読書暮らし~ Koala(心愛良) @pensaki-202312

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