成瀬さんは世渡りが下手すぎる

喜島 塔

プロローグ

「どうせ一度きりの人生ならば、美人に生まれてきた方が幸せに決まってる」

 私のまわりの人たちは、皆、口を揃えてそう言っていた。


唯香ゆいかみたいに超絶美人に生まれてきたら、薔薇色の人生を送れただろうになあ……『美人の特権』だよねえ」

 そう言って、大学時代の友達たちは、私のことを羨望の眼差しで見ていた。


 それなのに……それなのに……どうして?


 私は、35歳になった今も独身で、毎日あざといヤツらに振り回されながら、地べたを這いつくばって生きてるっていうのに……


 私を羨んだ子たちの方が、よっぽど、私より、まっとうで、幸せそうな人生を送っているのは……


 どうしてなの?

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