第2話 妹の厳しさの半分は優しさで出来ている…。
ある日の朝、ダチの家から帰ってきたら…部屋が片付けてあった。
あれだけ本やPCソフトが散らかっていた部屋が、見事に片付いていた事に驚き、一時思考が止まってしまった。
何故こんな状態に…ん?
机の上に見慣れない参考書が、綺麗にまとめられている…問題集もおまけ付きで。
こんな事をやる奴は1人しかいない、俺の妹だ!
「兄貴、エロ本は楽しく読んでるのはいいけど、いい加減ニート辞めて、どこか就職しなさいよ!自分の好きな分野も有るから、資格の辞書と私が使っていた参考書も用意したから、そこから選びなさい!」
後ろを振り向くと、そこには妹が立っていた。
「…お前がやったのか?」
「その通り!このままじゃ勉強する気にならないでしょ!」
「俺のエロ本とゲームソフトはどうした!」
「片付けてやった!後ろに有るから…。」
「後ろ?あった…て、おい!なんで無断で部屋を片付ける?一言聞いてからでも良いだろ!」
「大丈夫、ソフトや本は売ってない。」
「ふざけるな!人の物を何勝手に片付けるんだよ!」
「あそこのエロ本は…兄貴、趣味悪いぞ!個人的には、処分したい…一応、個人の所有物だから残しておいたけど。」
「てめえ、まさか、あの絶版したレア本も見たのか!」
「…変態。」
…最悪だ、あれをバレずに購入する為に、どんなに苦労したか。
「文句言うなら、就職しな!生活費出せよ!」
「うっ、待て!もう少し待て!」
「ふざけるな!穀潰し!いい加減にしないと、お前、家から追い出すからな!」
「ちょっと待て、親父の家であって、お前の家じゃないだろ!」
「この家のローンの半分は、私が払っているのだけど…。」
うっ、それは…確かに。
「猶予は、兄貴が三ヶ月以内に資格を取り、就職する事!それまでに、就職出来なければ、兄貴の私物を売って、家を出てもらいます!もうすでに、親の許可をもらっているから、覚悟するように!」
なにぃ!マジかよ!
「ニートが一生続けられる訳ないでしょ!兄貴の為よ!私が取った資格が欲しいなら、休みの日に教えてあげるから、頑張りなさい!」
…うっ、何も答えられない。
究極の選択を押し付けられ、土下座して期限の延長を頼みこんだが、さすがに今回は、あんたの為にならないと却下された...。
日頃の行いの悪さで、ついに妹を怒らしてしまった事を心底後悔した今日この頃であった。
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