聖女様はバージンを捨てたい

さいとう みさき

第一話:聖女様の告白


「アルベルト、その、実は私君の事が好きなの!」


「はぁ? エマリアルいきなり何言ってんだよ? ごめん、僕これからミリーとデートなんだ、それじゃ!」



 勇者一行は魔王を倒し、そして王都へ戻っていた。

 そして聖女とされるエマリアルは旅の間にひそかにはぐくんでいた思いを年下である勇者アルベルトに告白した。


 長髪で金髪碧眼、まるで聖母のような姿に思わず目が行ってしまう抜群なスタイルの美女、聖女であるエマリアルは今年二十五歳。

 対して勇者であるアルベルトはまだまだ幼さが残る十五歳となる。


 年の差も気にはなるも、エマリアルは彼のような、その、幼い容姿の若い男性が好みだった。 


 しかしアルベルトはそっけなく仲の良かった同じパーティーの魔術師、ミリーとデートだという。


 正直知らなかった。

 ミリーもアルベルトを狙っていたとは。

 しかも彼女はまだ十六歳。

 アルベルトとも歳も近く言われて見れば旅の間も仲が良かった。


 エマリアルはその場に膝をつく。

 聖女と呼ばれ恋愛経験なんて一切なかった。

 それゆえ、男性も小さな頃に憧れたお兄ちゃんのようなのが好みになってしまった、かれこれ十七年も前の話だが。




「ううぅ、私失恋してしまいましたわ……」





 よよよと涙ぐむエマリアルを他所にアルベルトは元気におめかししてデートへと向かうのだった。

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