君が僕と果てるまで【第2部】
蘭野 裕
誅戮
剣はギラリと篝火を映す。
波打つ金髪に返り血がこびりつき、剣の主が若いながら手練れだと示している。
囲む敵は十……いや、いま数えても意味はない。ここは奴らの居場所で、部屋の戸は壊れている。
数を頼みに蹂躙する気だろうが、誰も最初の犠牲となるのを恐れている。
ひとりの馬鹿が痺れを切らした。
キン、と刃物の触れ合う音を皮切りに、血の嵐が吹き荒れる。
その中心にいるのが金髪の若き剣士だ。
罠にかかった鼠の群れのように、敵は生きて動ける数を減らしてゆく。
しかし多勢に無勢、誰かしらが隙を突くものだ。
鼠どもの中でも比較的ガタイのいいのがその役目を背負い、剣士に迫った。
ザクッ
視界を赤く染めながら敵は斃れ、金髪の剣士は命拾いした。
僕は血塗れのナイフを手に、着地する。
天井裏にいたのはべつに彼のためではない。
「遅かったじゃねえか」
「どうせ会わずには済まないと思っていましたが、もう少し持ち堪えるかと」
「殺しても死なないお前とは違う」
駆けつける足音が一人分聞こえている。
その男は入口で惨状を知り、へたり込んでしまった。
「おい、そこの奴、知ってることを話すなら……」
「その必要は無いでしょう」
僕は戦果を示した。
「魔人の売り先」のリスト。
そして、このアジトの長の首……の入った袋だが、二人とも中身を察した。
「ぅわああああああーーー!」
半狂乱になってナイフを構えて突進してきた男を、僕は始末した。
もとから留めを刺すつもりでいたことは言わないでおこう。
(続く)
君が僕と果てるまで【第2部】 蘭野 裕 @yuu_caprice
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