第18話 クッキング
お部屋はこじんまりとした木製の部屋だった。
ベッドと机、それに洋服ダンスがあるだけ。
明かりが必要ならカンテラを10ギルで借りられらしい。
体を拭く用のお湯はタダでくれるって。
そうか、お風呂がないのか……。
「街の中に公衆浴場があるよ~!」
「ブヒ!」
公衆浴場とな。
ぼくちゃん銭湯大好き。
サウナの方が好きだけど。サウナもあるだろうか?
後で行ってみよう!
「じゃ、厨房に案内するね~♪」
キャサリンのスカートからフサフサの尻尾が出ている。
鼻歌まじりに厨房へと案内してくれるようだ。
「使い終わったら片付けと魔力は補充しておいてね!」
あと、味見させてねっ! とだけ告げてキャサリンは去っていった。
「ふむふむ?」
とうぜんながらコンロは無い。
ただ水道はあるようで水は問題ない。
昔の台所にあったような竈がある。 赤い魔石のような物がついたダイヤルを回すと火が付く仕組みみたいだ。
大きい鍋とフライパンもある。
「十分だね」
もらった干し肉のスープとコーラルラビンのサラダ。 コンコロもあるし十分だ。
サラダ用に自家製マヨネーズを作ろう。
意外と簡単に作れるんだよね。
コショウいれたりマスタード入れたり、明太マヨソースとかよくつくって食べてた。
「ふんふん」
材料は卵の黄身とお酢と塩、それに油だ。
お酢と油って混ざらないんだけど、卵の黄身を加えると乳化して混ざるのだよ。
ほんと卵は最強。
卵があればなんでもできる。
パーフェクト食材だよ。
いいすぎだね。
「ふんふんふん!」
手動で混ぜるのはなかなか大変だ。
しかしこの大変さの後に美味が待っているのだ。
「完成ブヒ~!」
白っぽいクリームみたいになった。
身体強化のおかげで混ぜるのもそんなに疲れなくてよかった。
「コーラルラビンを解体して……」
超巨大な玉ねぎのような胴体、頭頂部に生えた紫の葉っぱ、葉っぱでできた足まで食べられるらしい。
置いてあった包丁で切ってみると簡単に外側の皮は向けた。
中は白くたまねぎ……いやキャベツの芯みたいかな?
茹でたほうがいいのだろうか。
とりあえず細かく解体していく。
同時に鍋でお湯も沸かしておく。
「まずは一品目。 コーラルラビンとコンコロのマヨサラダ」
シャキシャキ食材のサラダにはマヨは合う。
うーん、コショウが欲しいな。
コーラルラビンの甘みは凄いな。
糖度の高いトマトとかと一緒で野菜を食べてる感じはしない。
そもそも野菜ではないのか。
「二品目。 謎肉とコーラルラビンの葉のスープ」
足の葉っぱは弾力がある。
頭頂部の紫の葉は風味と滋味があってスープのアクセントに。
謎肉からもうまみがでてめちゃくちゃ美味しい。
「うーん、三品目はステーキにしてみようか?」
なんとなくというか、直感。
フードファイターの感が焼いてみろと囁く。
ステーキ状に楕円に切って焼いてみる。
ちょっと格子状にしてオシャレに。
いやこうすると味がよく絡むのか。
ぶつぶつと、感を言語化しながら調理する。
「できた! コーラルラビンのステーキ、マヨガリソース添え!」
ブチュ村でポンメイさんに貰ったひよこ豆みたいな奴を粗みじんにしてマヨと炒めたソースだ。
「うっ、美味いブヒ!!」
焼いたコーラルラビンはさらに旨味がまして、触感もシャキシャキとしたのが弾力を持つようになり焼き面のカリっとした部分と合わせて最高だ。
マヨガリソースも絶品。
これは売れるッ!!
「ぶひ~……」
日本ならお店だせるのにな~。
俺ってもう日本に帰れないんだろうか?
目標達成したら返してくれるのかな?
「ジー」
キッチンの入り口からキャサリンが覗いている。
「……ふふ」
まぁ後で考えよう。
今はこの世界の料理を楽しもう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます