第24話 貰ってくれたら。

 キラキラと輝く石をふんだんに使い、その周囲に金を糸状に伸ばして編む。

 繭玉のような金の網の中でコロコロと転がる真っ赤な石。

 ふふ。なんだかマクギリウスの瞳の色みたいだわ。

 そんなことを思いながら、金の繭玉に鎖をつなげネックレスにしていく。


 真っ赤な石には魔法陣を閉じ込める。

 マギアスコードと呼ばれる特殊な呪文が込められた魔法陣は、お守りとしての効果だけでなく、つけている人の魔力をも増強させる効果がある。


 攻撃を受けるとそこに閉じ込められた魔力が解放され、攻撃した側に同等の威力で反撃をするのだけど、いかんせんひとつのお守りに込められる魔力は一回分であることと、その魔法陣が発動した際にはお守り自体も衝撃で破損してしまうのが残念なところ。


 もっと簡易なものなら量産もできるだろうけどこのお守りは魔力の込め方にも工夫が必要なので、作るのには結構時間がかかるし、それに暴発する危険もないではないからあんまり一般には出回らないものだったりもする。


 それでも。


 王族の人ならたいていこういうお守りを持っているものだし、わたくしも自分の分なら気兼ねなく作れるから。


 魔力を込め終わると真っ赤な石がうっすらと光り、より神秘的に見えたりもする。

 うん。やっぱりこういうのに没頭している時間の方が楽しい。


 この山小屋には天井にも壁にも防御の魔法陣が埋め込んである。

 板状に加工した魔石を壁のモルタルの中に敷き詰めて埋め込んであるのだ。そこに特殊な魔法陣で一面にマナの幕を張るようにしてあるんだけど、そこが一工夫されていて、魔法攻撃をもし受けた場合にその魔力を吸収して魔石の板に返し、その魔力をまた防御の魔法陣を形成するマナに変換するといった仕組みになっているんだよね。

 だから、この山小屋でならわたくしはどんだけでも失敗ができる。

 失敗した時の魔力も無駄にならないんだもの。

 それってすごく、イイよね?


 こんど上手にできたらマクギリウスにもあげよう。

 って言うか、マクギリウスったら貰ってくれるかしら?

 もし貰ってくれたら、わたくしの魔力をマクギリウスが纏ってくれることになる。

 それってとっても嬉しい。

 うれしいんだもの。



 ♢ ♢ ♢


 ラインハルト様は王都に帰ることになった。


 マクギリウスは怒って居たけどしょうがない。

 お祖父様から何か言いふくめられたのか、それ以上は口を出さなかった。




 わたくしは……。

 ここでこうしてマクギリウスと二人幸せに過ごせたらそれでいい。

 あ、もちろんフィリアにも幸せになってほしい。

 まったりと、こうして魔法のお守りをつくって暮らせたら。

 それが一番しあわせなのだもの……。

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