第2話
小学校に入るとき、母さんは私と茜ちゃんを同じクラスにするように頼んだらしかった。茜ちゃんに見ていてもらわないと、そう言って。私は、新しい出会いの期待よりも一人が怖くて仕方なかったから、その事にただただホッとした。
茜ちゃんは変わらず私の面倒を見てくれた。私も茜ちゃんにくっついていた。それでも、茜ちゃんには友達が多かった。そして友達を作れない私を、よく仲間に入れてくれた。友達は、ずっと茜ちゃんの友達のままだった。私はうまく会話についていけなくて、よく嫌な顔をされた。茜ちゃんは、友達と話すのが楽しいみたいだった。それでも私の事も会話に入れてくれた。私は何も上手に返せなかった。茜ちゃんはえらいよねぇ、私がいない時の、茜ちゃんの友達の言葉。私は教室の扉の影で、偶然それを聞いてしまった。
茜ちゃんは、私には茜ちゃんがついていないとだめだと言った。そしてこの頃から、茜ちゃんは二人でいると、時々私をはねのけたり、私の腕をつねったりするようになった。怒らせたのかと思ったけれど、二人じゃなくなると笑ってくれたから、わからなかった。母さんに相談すると「茜ちゃんがそんなこと本当にしたの」と信じてくれなかった。びっくりして、本当だよと言うと、顔を渋くして、「まあ、もししたっていうなら、あんたが駄目な事したんでしょう」あんたは茜ちゃんに迷惑をかけてるから、そこで話が終わった。
私はあの時、声が出なかった。驚き過ぎたんだと思った。でも、今ならあれは呆然としたんだとわかる。
私は茜ちゃんに悪い事をしているらしい。それでも、腕はつねられると痛かった。気付かれないのは、泣きたかった。茜ちゃんに、悪い事をしないようにしようと思った。
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