族 鼠物語

 僕の部屋に鬼天竺鼠おにてんじくねずみがいる。

 南港なんこうからいて来たのだ。


 この怪異かいいは机の上のフィギュアに目を見開き、瞳をうるませてはかぴかぴとく。

 夜中になると、小さなフィギュア達と楽しそうに乱舞らんぶしている。

 その光景を見る僕は、無意識に、いや、意識的に消していた怪異かいいに気付かされたのだ。


 マルボロを出して一本を口にする幼女が、机に座っている。

 シャキーンと小気味こきみよいひびき、しゅぼっと ジッポーに火を煙草たばこべる。


 深く吸い込みカシャンと火が消され、青白い煙がき出されると、香りは広がり僕は思った。

 臭いが付くぅーーー。


 出逢ってしまったのだ、怪異かいい、ダーティN岡に。

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