第77話 衛生対策②
ちゃんと聞いたらメッサーラの流行り病の終息に力を貸して欲しいって。そういうことか。捕まるのかと思ったよ。
「先に報告書をまとめてメッサーラに送りますので失礼致します! 明日は我々と一緒に!」
明日かぁ、急だなぁ。まぁでも状況を考えたら一日でも早い方がいいもんな。
「ここは宿も兼ねてますので、本日はこちらにお泊まりください。ささやかですが夕飯はご一緒にどうですか?」
「あ‥‥‥、えっと‥‥‥よろしいのですか?」
「もちろんお付きの人も全員という訳にはいきませんが。そこでも少々衛生対策を工夫してますので是非ご覧になってください」
「わ、わかりました」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
酒場に席を設けた。やはり売り上げ自体が下がっているからこういう機会もないとな。
対策が効いているのかこの村での感染に関してはまだ一件もないし。
行商人だって最近はそこそこ来てるんだけどな。
「遅くなってすみません、エドガー様」
「フィルさん、忙しいのにすみませんね。ここの工夫も是非見て欲しくて」
今日のメンバーは俺とティナ、フィルさん、何故かドワーフ3人だ。
フィルさんがロキソ達に挨拶をする。真面目な方だ。
「こんばんは、フィルと申します。ドワーフや獣人などの方は病気になりにくいみたいですね」
「ここのドワーフのロキソじゃ。ドワーフ特有の病気もあるがのぅ。ヒューマン種の病気にはかかりにくいかも知れんの」
一応ロキソに釘を刺しておく。
「とは言っても病気の素の媒介になる可能性はあるんだからな」
「こうやって坊が騒ぐからの、だから不自然にもこんなに席が離れとる」
席は互い違いになるようになっている。
「うんうん!」
「これもアタイが作ったんだよ」
イブがクリスタル製の仕切り板を指差す。
「これは‥‥‥クリスタルですかね? なるほど、こうやって仕切る事で直接飛沫が飛ばないようにしているのか!!」
「お待たせしましたー」
酒が届く。相変わらず俺とティナはジュースだけど。
「カンパーイ」
小さめの声は響くけどジョッキを重ねる音はしない。寂しいものだ。
感染状況次第では酒場でもマスクを着用しながらの食事や会話も仕方がない。この村の状況なら今はまだ全然大丈夫だけど。
「本当に明日からエドガー様にメッサーラに来ていただけてありがたいです‥‥‥」
フィルさんは酒が弱いのか少し呑んでは喜びながら寝てしまった。連日の疲れもあるのかもしれない。感染症の事もあるので早々に切り上げた。
フィルさんはティナが運んでくれた。
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