第6話 セリス
「「「アネゴー!!!!」」」
三人が部屋になだれ込んできた。
「あれっ」
「えっ? 大丈夫そう‥‥‥」
「痛みは‥‥‥?」
「痛みは消えた。このエドガーが治してくれた」
三人は俺の方を振り返り頭を下げた。
「「「ありがとうございます!!」」」
でも当然の疑問が三人から飛んでくる。
「それで、腹痛の原因は何だったんです?」
「それは個人情報だから言えないよ」
「アネゴ? なんか顔赤くなってません?」
「お前らは知らなくていいんだよ!!」
ティナだけがクスクスと笑っていた。
「そうだ、治してくれたお代を払わなきゃ‥‥‥。いくらでも払うから言ってくれ」
セリスが思い出したかのように提案してきた。ヤ◯ザみたいなもんだからその辺は踏み倒すのかと思ったがキチンとスジは通すらしい。
「いや、金を貰うほどの事はしてないから要らないよ。それよりも頼みがあるんだけど‥‥‥」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後村の民が困っている現状をセリスに話した。
「そうか‥‥‥知らなかった、そんな事になっているとは‥‥‥。すまない、エドガー」
「いや、俺は別に。まだ何も被害は受けてないから」
セリスはその辺の話を全く把握してなかったようだ。村人に迷惑をかけるつもりは全く無かったそうだ。
セリスは目を閉じてため息を一つ吐く。
「おい、お前ら。今すぐに黒の夢のメンバーを全員集めろ」
「「「はい、アネゴ!」」」
一時間後、酒場の一階を占拠した黒の夢のメンバー総勢32名。どいつもこいつも一癖も二癖もありそうな容貌だ。
「これからアネゴより話がある! 謹んで聞け!!」
マールが場を仕切る。この三人はメンバーの中でも上位の三人らしい。
「では、アネゴ。お願いします」
「お前ら、本日をもって『黒の夢』は解散する!! これからはまともに働くように!!」
‥‥‥これは予想外だった。
「アネゴ! どういう事だ!?」
「ちゃんと説明してくれ!!」
まぁこれは当然の声だな。
「お前らはみんな他所の街で何かやらかしてこの村に送られてきたはずだ。そしてここでもいろいろとやらかして、この村の人に迷惑をかけている。それで良いのか? この先の人生も後ろ指差されるような人生でいいのか?」
ヒソヒソと話し声が。
「そりゃあ‥‥‥真っ当に生きたいって気持ちもあるけどさ」
「今更だよなぁ? 何をどうすればいいんだか」
セリスがさらに続ける。
「まともに働く気がある奴はここに残れ。働き先に私も行って一緒に頭を下げてやる」
「アネゴが‥‥‥?」
「俺でもやり直し‥‥‥出来るのかな?」
「へっ! 馬鹿馬鹿しい!! ボスはどうかしちまったらしいぜ!!」
一人の大きな奴が大声を上げる。
「マッシュ‥‥‥」
「俺は出て行くぞ! 今更ちまちま働けるかってんだ。みんなもついてこい!!」
マッシュと呼ばれた男は酒場から出て行った。追従する者も四人いた。
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