第7話 マロン

「この間さぁ、これ栗じゃなくてマロンなんだよねー、って会話が聞こえてきたんだよ

「……え?マロンは栗じゃないのか?

「お前もそう思うよな。前後の会話的にもそうじゃねぇらしいんだよなぁ

「それは知らなかったわ。何が違うんだ?

「日本語と英語?

「言語学じゃなくて植物学の話なんだわ


「もしかしたら―

「待った!いつもお前が天才なのなんかムカつくから俺が答える

「お前が言ってるだけだろ

「……あれだ、鮨とSushiは違うみたいな話だ

「あー……

「国産は栗!イタリア直輸入とかはマロン何だよ!どうよ!

「自分で英語っつったじゃん

「ならイタリア語だ!

「ガバガバ言語学だなぁ


「栗はブナ科クリ属、マロンはトチノキ科トチノキ属なんだと

「またGoogleか!現代っ子め!

「つーか、マロンは英語でもイタリア語でもなくフランス語らしいぞ。何もかも違うじゃねぇか

「くそっ!イガ栗みたいにトゲトゲしやがって!もう栗なんぞ知らん!

「じゃこの栗羊羹はいらんな

「栗大好きです

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る