第23話 魔王襲来の噂

 レベルアップの弊害である力の加減の修正作業と互いの連携菱化訓練を終えた僕達は町に帰還することにした。森に籠って何だかんだ一か月の時が過ぎている。


 最近では森の生活にも慣れ、恋のエルフィ人と過ごす同棲生活を毎日楽しんでいた。しかし、エドモンドさん達も僕の事を心配していると思うので、一度町の戻り無事であることの報告と共に色々な情報を集めて今後の冒険者としての生活基盤をしっかりと作りたいと考えていた。


「ボクはアキラについていくから好きにしたらいいよ」

「私はマスターのご意思にしたがいます」

「旦那様の御心のままに」

「ダーリンに任せるぜ」

「グノはお兄ちゃんと一緒だったら何でも良いよ」 


 エルフィは急いで国に戻る必要は無いので、当面の間は僕の自由にして良いと言ってくれている。ちなみにエルフの言う当面の間とは5年10年位の期間になるらしい。

 

 エルフィには僕がこことは違う世界から来たと言う事を伝えていた。自分のステータスもみせた。


 始めは驚いていたもののエルフィは迷いのない眼で僕を見つめ、頭を撫でながら諭すように優しくこう言ってくれた。


「キミが例え異世界から召喚された勇者だったとしても、ボクにとってはどうでも良い事なんだよ。キミが何者であれ、ボクはキミと一緒に居るって決めたんだからさ」


 ううっ、エルフィってば本当に良い子。


 こんな良い子に苦労をかけない様に僕は稼がなければならない。そう、先立つ物が無ければご飯さえ食べさせてあげられないのだ。一刻も早くライーズの町に帰って仕事をしなければ! 僕は心新たにエルフィと精霊達を連れライーズの町へと向かった。


 あれだけ苦労した死の森も今では何の苦労をすることなく攻略できている。出会った魔物をサクっと倒し精霊組が素材の回収を行う。回収した様々な素材はウンディーネのアンが洗浄した上で、エルフィが持っていた王家の家宝アイテムバッグに収納する。この森の魔物の素材は高値で取引されているとエルフィが教えてくれた。


「このバッグにはね、お城を収納したって言伝えがあるんだよ」

エルフィが「えっへん」と自慢そうに自身の巨乳を叩き、ボインボインしながら教えてくれた。


 さすがは異世界、バッグも巨乳も恐れ入る。


 素材の回収時間を入れても森を出るまでにかかった時間は僅か二時間ほど、このまま順調にいけば恐らく昼過ぎ頃にはライーズの町へ入ることが出来るだろう。


 死の森を出て街道を目指す、街道で出て進路を南に取り一路ライーズの町へむかう。


 街道に出た時から異変には気が付いていた。街道の要所、要所に完全武装した兵士達が配備されている。兵士達は緊張した面持ちで周囲を警戒している。一部の兵士には明らかに殺気だった気配を放つ者もいて剣呑な雰囲気を醸し出している。


 更に町に向かって歩いていくと街道で検問が敷かれていて、通行する者達が取り調べを受けていた。人間や獣人、亜人種などが大勢足止めされているようで、大変な混雑を見せていた。さながら国境検問所のような様相を呈していた。


「何かあったんですか?前に通った時はこんな検問所は無かったのですが」

僕は前に並ぶ人間の商人に尋ねてみた。

「何だ、兄ちゃん知らないのか。死の森だよ、死の森。あの森に魔王が出たんだよ」

「魔王ですか?」

「ああ、十二の月初め頃に森に調査に入っていた領主様立が出くわしたらしい。特大の魔法で森を吹き飛ばしたらしい。運良く命こそ取られなかったみたいだが、全員怪我をして帰ってきたみたいで、中には重傷を負った兵士もいたそうだ」


 僕はこの世界の暦を知らないので十二の月の始めというのが何時なのかがイマイチピンとこないけど、この一か月の間僕達は森の奥にいたがそのような異変は無かった。


「十二の月の始めなら、大体一か月位前のことだね」


 目立つことを嫌って深くローブのフードをかぶったエルフィが耳元で囁くようにして教えてくれた。耳に当たるエルフィの吐息がこそばゆくて僕は興奮する。この美少女エルフが僕の彼女だと思うと益々・・・。


 僕は若干の前傾姿勢と取り列に並びながら六人で相談を始める。ちなみにシルフィ、アン、サラ、グノも容姿や存在が非常に目立つのでエルフィと同様にフードをかぶり、美しい顔を隠している。


「皆、魔王って知っている?」

「魔王は魔族の王だよ。何百年か前に悪さをし過ぎてね、創造神イザナミ様に魔界に閉じ込められたんだ」


 そこまで話したエルフィは口の前で「しぃー」っと、静かにのハンドサインをすると、僕達全員を頬が触れ合うほどに近づけさせると周囲を警戒した上に消音魔法迄使って話始めた。


「これ僕の国の機密情報なんだけどね、少し前にイザナミ教会の聖女ツクヨミ様から魔界の結界が弱まっているって連絡があったんだ。今すぐではないけど遅くても20年後位には結界の一部が溶けちゃうかもってね」


「その話はマジですか?」

「マジ、マジ」


 僕はエルフィに口元に近づき、彼女が話す度にこぼれる吐息を美味しく頂く。空気がいつもの百倍美味しい。


「次の人」


 誤解の内容に言っておくが、僕はただ自然に呼吸をしているだけだ。たまたま美少女巨乳エルフの成分が多量に含まれた空気を吸っているだけだ。


「旦那様、精霊界でも結界の綻びは確認しています。今、直ぐの事とはならないでしょうが、綻びから魔族が侵入することが考えられます」


 ウンディーネのアンは僕の腕を抱きながら貴重な精霊界の話とたわわな胸の形を教えてくれた。ありがたい、とても得難い情報だ。


「結界が綻んで、魔王は出てこないの?」


「お兄ちゃん、あのね。魔王と呼ばれる魔族の王は低級神以上の力を持っているの。だから魔界を大きい大きい結界で封じているの。例えて言うならね、うーんと、結界は大きな網で魔王は大きな魚かな。大きい網で大きい魚を捕まえているの。でも、大きい網は網目も大きいの。だから、大きな網目より小さな魚はすり抜けて通ってしまうの。そして結界が綻びて道が広がればより大きな力を持った魔族がこの世界に出て来てしまう」


 僕の手をクイクイと引きながら可愛い妹のグノが一生懸命に分かりやすく教えてくれた。教えてくれてありがとう。僕は可愛い妹の頭をなでなでしてお礼をする。後であめを買ってあげよう。


「ダーリン。すり抜ける程度だからって油断したら駄目だぜ。奴ら魔族は人間よりずっと強いんだからな」


「次の人」


 対面にいるサラは腰に手を当て、人差し指を僕に向けて刺しながら、最敬礼より深い姿勢で「油断するなよ」と言ってくれる。前屈みになっている僕よりも深い姿勢で。


 すると、どうなると思いますか皆さん?


 彼女が着ているローブの胸元、ブカブカのシャツが浮いてしまいミニマムな双丘の頂、小さく綺麗な桜色の突起が姿を現すのです。


「お前こそ油断するな!」


 と、言ってやりたい処だけれど、少しでも長く見たいので言ってやらない。その代わり前に誓った通りに前屈みには前屈みで返そう。


「マスター、この度の騒ぎの原因は、魔王ではなくマスターが原因だと思うのですが」

「次の人」


 頭を押さえてシルフィが言う。


 ?


 僕が何の事かと頭を抱えていると、兵士さん達が僕達を読んでいることに気が付いた。


「次、お前らだよ、お前ら。そこのローブをかぶった6人組!」

「隊長、きゃつらから魔法の気配を感じます」

「本当かね、ウエンツ一等魔法兵」

「はい僅かですがきゃつら何かの魔法を使っています」

「むむ、怪しい奴らめ。兵士長奴らを拘束しろ!」

「者共、奴らを取り囲め、抜刀!」

「おおー!」


 何だ、どうしたこの急展開? 僕達はあっという間に剣や槍をかまえた兵士達に取り囲まれた。


「待って下さい!僕達は何もしていません。話を聞いて下さい」

「マスターに武器と向けましたね。貴方達は敵とみなします」

「旦那様ここは私達に任せて下さい」

「俺達に剣を向けるとは、お前ら死にたいらしいな」

「お兄ちゃんは私が守るよ」


「死にたくなければ抵抗するなよ」


「男と女は別々に捕らえろよ」


 兵士達は声を荒げて叫んでいる。急展開が止まらない。このままでは色々と危ない。


 それに、僕はまだ前かがみの姿勢のままだ。


 どうする!!



来訪者・四大精霊を統べる者・エルフの王女の婚約者

レベル129  力 SS 体力 SS 速 SS 賢さ S 魔力 SSS  神力 S

属性 地 水 火 風 光 精 召 神


加護

創○神のイザ○ミの加護

風の精霊の加護(中)

水の精霊の加護(中)

炎の精霊の加護(中)

炎の精霊の加護(中)


契約

風の精霊 シルフィード

水の精霊 ウンディーネ

炎の精霊 サラマンダー

土の精霊 ノ―ム


神魔融合魔法 

ファイナル・シャイン・フラッシュ・・・オリジナル魔法。


魔法

風魔法

水魔法

火魔法

土魔法


覚醒スキル

神魔融合・・・超絶スキル。神力と魔力を融合することが出来る。


特種スキル

舌技・・・舌を自在に操ることが出来る。極めると少し舌が長くなる。

宴会の王様・・・どんな宴会も思い通りに盛り上げることが出来る。


習得スキル

脱力・・・体の力を抜いて動きやすくする。

毒無効・・・すべての毒が無効。

バーサーカー・・・混乱状態になるが身体能力100%アップ。

身体強化Ⅰ・Ⅱ・・・身体能力向上 Ⅰ20% Ⅱ40%アップ。

ステータス・・・自分のステータスを見る事が出来る。

人望・・・人の心を捉えやすくし離さない。

魔力操作・・・自分の魔力をコントロール出来る。

魔力感知・・・魔力の有無、強さ、場所などを把握することが出来る。

鑑●

オートリジェネート(小)・・・僅かだが魔力がある限り傷の自己修復を行う。

潜伏・・・気配を消して察知されづらくなる。

集中・・・知覚・感覚が15%アップ。

危険察知・・・身に迫る危機をある程度察知することが出来る。

並列思考・・・同時に複数の事を考え処理することが出来る。

限界突破・・・自分の限界を超えた力を出すことが出来る。

再動・・・失った力を一度だけ(50%)取り戻すことが出来る。

先見の明・・・先に起きる自身に有益な事象を予測することが出来る。


武技スキル

剣技刺突閃光一式・雷光・・・稲妻の速度での刺突。練度が上がれば雷を纏う。

剣技刺突閃光一式・桜花・・・雷光より速度は落ちるが多連激技。

八剄・・・発剄、寸勁、沈墜勁、十字勁、纏絲勁、爆発勁、透化勁、浸透剄。強力な一撃で敵を倒す

縮地・・・神速の移動。熟練者は空を蹴る事も出来る。

魔力闘法・暁・・・全身に魔力を纏い戦闘術。魔力の強さにより何十倍の攻撃力と防御力(魔法防御含む)を得ることが出来る。

魔力砲・・・魔力の砲を打つことが出来る。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る