第24話

今回のお見合い相手は複数の国に販路を持つ大商会の御曹司である。


今は落ち着いているがこの世界では戦争が頻繁に起こる為、複数の国での商売をするのは難しいとされている。


そんな中、いくつもの国での販売権を持っているということは凄いことなのだ。


下手な貴族よりも影響力があると言えるだろう。


そんな御曹司であるカネゴン・ゴールドは体形が素晴らしい。


素晴らしすぎて豚を通り越してオークに見える。


ないわ。


本当ないわ。


元おっさんである自分も太っていたがここまでではなかった。


しかし、ここで素の感情を見せるのはよろしくない。


頑張って作り笑顔を作る。


自分で言うのもなんだがこの体は美人である。


美人から微笑みかけられれば効果は抜群だ。


オークは鼻息を荒くして話しかけてくる。


うわっ。


息臭。


お願いだから落ち着いてほしい。


思わず吹き飛ばしてしまいそうだ。


そんな彼だが実務では優秀なようでお土産として珍しい茶葉や高級菓子を持ってきてくれていた。


これらの品は後で楽しませていただこう。


趣味は珍しい物を食べることだそうで気が付いたら今の体形になっていたとのこと。


今までも何度もお見合いをしてきたそうだが女性は皆、彼の姿を見ただけで怒り出し一度も成立したことがないんだとか。


うん。


センスはあるんだからダイエットにチャレンジするといいんじゃないかな。


私は結婚する気はないけど痩せられたらすぐ結婚できそうな気がするんだ。


そういうわけでオークダイエット大作戦決行です。


まずはジャブとして庭への散歩を提案してみます。


女性から誘われたことのないオークは喜んでついてきます。


しかし、誤算がありました。


オークには体力があまりにもなかったのです。


少し歩いては休憩その繰り返しで運動効果は見込めません。


どうしたらよいのでしょうか?


そこで教会で習った知識が役立ちます。


肥満体形の人は健康リスクが高すぎる。


そのことを説明して食事制限を提案してみます。


幸いなことにオークは主治医からも忠告を受けていたそうでこの提案に頷いてくれました。


ちなみにお医者さんに診てもらえるのは基本的にお金持ちだけです。


その理由は薬や手術にはお金がかかるのでお金のない人達は教会で治療を受けるしかないのです。


教会で治せるのは基本的に軽度の怪我や病気だけです。


光属性の魔法を極めるとその限りではないそうですがそこまでの腕を持っている人が少なく高位貴族や王族、一部の金持ちの相手しかしないそうです。


どこまでいってもお金が付きまとうとか嫌になってきますね。

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