第21話

「嫌な思いをさせて悪かったね」


「いえ、ですがお父様。一つ確認してもよろしいでしょうか」


「何かな?」


「陛下と事前にこうすると決めていたのではないですか?」


公爵家の権威は王家も蔑ろにすることは出来ないとしてもこの展開は普通ありえないだろう。


だとすると事前に決めていたのではないかと思うのだ。


「本当はもう少し様子を見るつもりだったんだけどね。それにリーシアが気に入る場合も考えていたし」


否定しないということは思った通りであっているようだ。


陛下はどれだけ馬鹿な息子でも自分の手で処分はしたくなかった。


だからお父様を利用したのだ。


複雑な政治という奴なのだろう。


「さて、私も失礼するよ。娘とは言え嫁入り前の娘の部屋にいつまでもいるのは外聞が悪いからね」


そういってお父様は去っていった。


恐る恐る入ってきたメイドに手伝ってもらって身支度を整える。


身支度を整えたら家族で朝食を取る。


朝食の席でお父様は改めて謝罪をしてきたがもうあまり気にしていなかった。


城内はまだ少し騒がしいようだがいつもの空気に戻りつつあるようだ。


馬鹿王子についてきたメイド達も王子と同じ今は使われていない屋敷へと連れていかれたようだ。


彼女達はどういう立場かというと家財が傾きどうしようもなくなった貴族の娘さん達のようで王家からの多額の報酬と引き換えに自由を売り払ったとのことだった。


隔離されるとはいえ元王族と共に暮らすのだからそう酷いことにはならないだろう。


馬鹿王子の相手をし続けなければならないこと以外はだが・・・。


私ならごめん被る話だけども。


「話は変わるんだけどね。リーシアさえ良ければ教会の手伝いをしないかい?」


「教会のですか?」


「光属性の魔法を習いたいと言っていただろ?教会は光属性の魔法のエキスパートだ。手伝う代わりに神官長が手ほどきをしてくれるとのことでね」


光属性の魔法には興味がある。


習えるならば手伝いをするぐらい構わないだろう。


「お父様。そのお話お受けしたいと思います」


「そう言ってくれると助かる。教会とは仲良くしておきたいからね」


これまた政治的な問題があるのだろう。


教会は国を跨いで存在する。


教会の総本山として宗主国家が存在していたはずだ。


その影響力は公爵家としても無視は出来ないのだろう。


そこに娘である私を送り込む。


双方にとってメリットのある話なのだろうけど光属性の魔法を学べるということでワクワクしていた。


今からとても楽しみだ。

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