第5話

目が覚めれば相変わらずの風景が広がっている。


プリンセスベッドから起き出して伸びをする。


窓に近づいて外を眺めてみるとかなりの高さがあるようだ。


今いる部屋は最上階に近いようで公爵家のプライベート空間という奴なのだろうか。


コンコンと扉をノックする音がして振り返るとメイド服を着た女性が入ってくるところだった。


「おはようございます。お嬢様」


「おはよう」


「お召し替えの準備をいたしますね」


そういってメイド服を着た女性はクローゼットに近寄っていく。


チラッと見たがクローゼットにはいかにも高そうなドレスが何枚も入っていた。


メイド服を着た女性はその中から一つを選び出すと近寄ってくる。


「お嬢様。本日はこちらでいかがですか」


そういって見せられたドレスは装飾が華美で露出も激しいものだった。


「う~ん。もうちょっと落ち着いた感じがいいかな」


「かしこまりました」


そういってメイド服を着た女性はクローゼットに戻り今度は落ち着いた淡い碧色のドレスを手に戻ってきた。


「こちらでいかがでしょうか」


「うん。これならいいかな」


そういうとメイド服を着た女性はほっとしたようだった。


寝間着を脱がされコルセットで体を締め付けられる。


昔、小説のネタでこういった知識も仕入れていたが実際にされてみるとそのつらさがわかる。


もう無理。


そんなことを考えている間もぎゅうぎゅうと締め付けてくる。


「お嬢様。もう少しお腹を引っ込めて」


気合を入れてお腹に力を入れる。


するとメイド服を着た女性は素早く紐を結んでしまう。


かなりきついがメイド服を着た女性はそのままドレスを着せてくる。


ドレスを着終わりしばらくそのままでいるとなんとか慣れてきて動けるようになってきた。


「お嬢様。体調がよろしければ旦那様が一緒に食事をしたいとのことですが」


「わかったわ」


メイド服を着た女性に先導される形で部屋を出て廊下を歩いていく。


昨日も思ったことだがかなり広い。


かなり複雑な作りをしており案内なしでは迷子になること間違いなしだ。


メイド服を着た女性は一つの扉の前で立ち止まりノックしてから扉を開ける。


「お嬢様をお連れしました」


「うむ。入ってくれ」


室内に入室すると両親と思われる男性と女性が席についていた。


「おはようございます。お父様。お母さま」


「階段から落ちたと聞いた時は心配したが元気になってよかった」


「ご心配をおかけしました」


空いている席に座ろうとすると執事服を着た男性が椅子を引いてくれる。


椅子に腰かけたこの時は地獄の時間がはじまろうとは思ってもいなかった。

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