第11話「脅迫観念」

この揺れ動く生死の日々

毎夜のように

血と涙で滲み

コケにされ続け


生きても

生きても

苦しいだけだった


この世界にある

そういった

立ち位置の違い

上下の関係


そうした序列に

悩み、

死こそ最善だと

いつからか本気で思う


痛みと困惑と

殺意と混濁

その混沌に

その不自然な脅迫観念が

絶えず身を駆け回り


殺してやると

死んでやると

そう、思ってしまう

このネジの飛んだ僕は


もう誰から見ても

生きてはいけない犯罪者で

なるべく酷く殺せと

望まれる存在だ


まだ人を手にかけた事はないが

いづれ逸脱した心が

暴走すれば

10人以上は死ぬだろう


だから

あなたで止めたい

あなたを殺して

止めてほしい


死んでいいと

僕のために死んでくれる

あなたを探している


そしてあなたを殺せれば

僕はきっと泣くほど後悔して

自殺するだろう


だから僕の生贄になって

僕を救ってほしい


なるべく楽に殺すから

なるべく痛まず殺すから


だから僕に、ナイフの触感を

血肉を捌く快感を

与えて欲しい


それが僕の唯一抱ける

生と死の釣り合いだ


散々だろ、残酷すぎるだろ


だから君の優しさで

僕を罪人にしてほしい


じゃあ、おいで。

僕が死ねるように、ここまで。

おいで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る