旬が過ぎたVtuber、企業案件でダンジョンに潜ったら、イケメン男装麗人とコラボすることになった件

立風館幻夢

第1章 初めてのダンジョン配信

プロローグ

 暗闇の中、「忍者の姿をした」私は、刀を構え、モンスターに突撃する。


「とりゃああああああ!!」


 私は目の前にいたモンスターを次々と切り裂いた。

 奴らは煙と共に魔石になっていき、気が付くと、辺り一面砂利道のようになっていた。

 なんか……楽しくなってきちゃったかも!


「このままどんどん行きますよ! 皆さん!」


 私がドローンカメラに向かってそんなことをアピールすると……。


『美羽ちゃん! 世界一かっこいいよ! ¥2000』

『どんどんやっていけ ¥5000』

『仕事で疲れてたけど、こういうの見るとなんかスッキリする ¥1000』

『¥10000』

『頑張れ! 美羽ちゃん! 少額だけど許して! ¥500』

『¥50000』


 コメント欄が投げ銭ラッシュに突入したのか、虹色に輝いた。

 一部、無言で高額投げ銭していく人もいた。

 それに乗せられた私は、そのまま攻撃を続け……気が付くと、モンスターの姿は……完全に消えた。

 ……やってしまった、私が。

 これを……全て。


「……凄い」


 ……後ろでずっと私を見守っていたコラボ相手が、ボソッとそんなことを呟いた。

 私はその言葉で、自分がやったことが現実だと気が付く。

 わ、私が……これを……な、なんていうか……。


「……これ、楽しいかも!」


 私は思わず、そんなことを口にした。


 ……そう、私は今、ダンジョン配信をしている、しかもコラボ配信というやつだ。

 コラボ相手は、「ダンジョン配信界隈では知らない人はいない超有名人」なのだ。

 そして、私の本業はVtuber、本来であれば顔出しはご法度。

 しかし私は「アバターの姿」でダンジョン配信を行っている。


 ……なぜなのか? こうなった経緯は色々複雑だ。

 かなり……複雑なんだ、これを聞いたら恐らく「作り話だろ」「そんな都合のいい事なんて起こるか?」と言うだろう。

 だが、これは事実……一言一句嘘ではないのだ。

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