天才と凡人


「久しぶりだな!」


 俺は約35年ぶりの親友との再会を果たした。


「どうしてピンポイントで俺を?」

「まあ、これはオタクの勘だな

 分からんけどお前の大好きな異世界転生なら

 転生者同士が出会ったら、その2人は何らかの関係があるのがマストだろ?俺はコミュニティ狭いから必然と出たのがお前って訳」

「本当、昔っから考察だけは得意だよな、運動、勉強てんでダメ人間なのに、好きになった事だけは夢中になれるとこ、

 だからお前雑魚キャラで転生したんじゃねえの?」


 そう言ってルイスは俺を見て大声で笑う。

 前はそんな奴じゃなかったはずなのに、力を手にして上の立場の人間ともなるとこうも変わってしまうのかと少し自分は気をつけようとなった。


「かもな、魔法とか厨二病な事の妄想は好きだったから魔力だけは凄いけど…」

「攻撃力、防御力が1じゃどうにもならないってか?」

「何でそれ知ってるんだ?さっきから知ってるかの様に」


 ルイスは俺を心を読めるのかと思うくらいに先読みして正確な事を言ってくる。

 そしてルイスは最初の時と同様に髪の毛をかき上げると、話し始める。


「俺はお前と違ってチートスキルを持ってるからな

 この目でお前の能力が大体分かる。」

「鑑定スキルって奴か」


 いいなあ、と思ってしまった。

 そんなんがあれば俺だって少しは危険を回避して生き延びる事だってできますよ。

 こいつだって、まあ俺よりは運動も勉強も何もかも少ーしだけ出来てただけで平凡な奴だったはずなのに。


「世界は非常であり、不平等だ。

 持たざる者がいればそうで無い者もいる、じゃあそうで無い者はどうすればいいか、分かるだろ?凡人のウィル君」

「……生意気な」


 俺はこいつの立ち振る舞いにかなりイラっとしたが、もし加減をミスって攻撃したら俺は死んでしまう。

 やっぱり俺、死にたく無い。

 取り敢えずここはルイス(高畑)が機嫌良くなりそうな事を並べて、


「ルイス、俺を救ってくれ、何者でも無い、何者にもなれない俺をどうか」


 これならどうだ、悲劇の男に救いの手を差し伸べるヒーローそんなのが好きだったやつだろ。


 俺の狙いはバッチリと当たった。

 機嫌良く俺の言った事を快諾してくれた。


「取り敢えずはさっきのパルナだっけ?あの人の話によるとまずは家に帰ってきて欲しいと言ってた。

 まあ、俺が簡単にウィルを手放す訳が無いな、お父さんがいるかも知れないし帰るなら少しでも強くなった姿、見せたいだろ?

 俺が手助けをしてやるよ」

「お、おう、ありがとう」


 親友なはずなのに少し、距離を感じる返事をしてしまって、ちょっと渋い顔をされたが、そんな事をいちいち気にする様なやつでは無いはず。


 自分ではチートって言ってたし、俺の戦術の参考になる事をしっかり吸収させてもらう事にした。


 後日、2人は練習をする為、外を出て、家から少しだけ離れて森の様な場所に着いた。

 離れにあるからか、流石に人通りも少なくて、俺の練習にも最適だ。



「まずは俺に炎で攻撃をしてくれ」

「分かった……」


 俺は周りが何もなくて自分の攻撃はそこまで危険では無いと確信している、だからド派手に見せかけの攻撃をお見舞いする。

 それでもか、ルイスは余裕の表情。暑さも感じさせない。


「おお!魔力量だけはモンスター級だな

 でもその攻撃1だろ?」


 そう言って、俺の攻撃を放つ前に、ルイスは指で銃を打つ様にして、俺の最高にカッコいい魔法を完破した。


「何?」

「じゃあ次は土か氷まあ何でもいいけどやってみろ」


 俺は言われた通り自分の出せる闇以外の全ての攻撃を繰り出そうとしたが、全て完成前に崩されてしまった。

 これは俺の攻撃が弱いからなのか、、

 そうなるとやっぱり俺は最弱なのか?

 少し落胆してしまった。


「まあ、かなり弱い部類のハンターである事には違いない

 だが、才能はある、良かったな、合格」

「これで合格なのか?」

「勿論!逆にこの最強の俺に初心者の雑魚のお前が一撃でも当てれるとでも思ってたのか?」

「そこまでは言ってないだろ!

 でも何も出来なかったからよ、やっぱダメなのかって思った」

「随分とネガティブだな、楽しくはないのか?」

「お前ほど強けりゃ楽しいだろうな!くそ!」


 俺はなんかこいつが嫌なやつに見えてきた。

 やっぱ力を手にするとこうも、、、


 するとルイスが急に背筋を正した。


「この俺が力を求めるお前に力を授けよう!」

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