天然公女は諦めない!〜悪役令嬢(天然)VS転生ヒロイン〜

@sasaoki_ryoka

断罪からの始まり

vs01 断罪イベント

わたくしの名は、マリミエド・メイナード。

メイナード侯爵家の次女で只今15歳。

この国の王太子妃となるべく、5歳から英才教育を受けて参りましたわ。

それはもう、ドSな教育…いえ、厳しい教育を。

それなのに、王太子であるエデュアルト様はわたくしを嫌っておいでのようなのです。


サンリエド高等学校の卒業式でも、迎えに来て下さらないばかりか、そこでエスコートしてもくれずに…

別の女性をエスコートして、ドヤ顔でわたくしの前に参られたかと思ったら開口一番。

「マリミエド・メイナード! お前との婚約は破棄する‼」

そうのたまいましたの。

学友全員と、両陛下のおられる前で、堂々と。

わたくしもさすがに驚きまして、数秒止まってから、お相手の方のドヤ顔を確認しようと思いましたの。

〈まあどうせ平民出身の〝天使〟と呼ばれるマリアさん…あら?〉

いつの間にか、エスコート相手のマリアさんが王太子の後ろの席に移動しているわ…。

そこには8人の殿方と天使のマリアさんが…。

マリアさんはエデュアルト様の異母弟であるカイラード王子の側にくっついている。

これって…そう。

どう見ても、こっそりと読んでいた庶民の間で人気の小説の悪役令嬢に似ているの…。

出てくる男を全員はべらかせて、邪魔な女を悪役令嬢に仕立て上げて断罪スカッと小説。

…悪役令嬢…

〈ーーーいやだ、わたくしの事だわ‼〉

やっとここで、自分の置かれた立ち場を理解しましたの。

マリアさんは、まさに小説のようにわたくしを断罪しているのね‼

「…聞いているのか!」

あら嫌だ。

考え事をしていたらエデュアルト様のお言葉をほとんど聞いていなかったわ。

「よって、お前を斬首刑に処す!」

突然の陛下のお言葉に、わたくしは扇子を落としてしまった。

「は…い? 斬…?」

「罪人を連れてゆけ‼」

さの陛下のお言葉で、近衛兵達に押さえられて引きずられていく。

「お待ち下さいませ、陛下っ」


バタン。


マリミエドはそのまま石牢へ入れられた。


「待って、わたくしが何をしたと…!」

引き止めようとしても、兵士は行ってしまった…。

大声で叫んで呼びたくても、淑女教育を徹底して叩き込まれたマリミエドには考えも及ばなかった。


何も出来ぬままに翌日、長く美しい銀髪をばっさりと切られて、斬首台へと登らされた。


皇族侮辱罪、窃盗罪、詐欺罪、皇族暴行罪ーーー覚えのない、数々の罪状を読み上げられた。


マリミエドは、真っ白な思考の中で皇族席を見る。

両陛下とエデュアルト王太子、カイラード王子、そしてマリアさん…。

〈わたくし…死ぬの…?〉

本当に?

放心していると、首を斬首台にはめられた。

マリアのほくそ笑む顔が、ハッキリと見えた。

〈いや…死にたくない…わたくし、わたくしーーー〉


 ザンッ‼

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