第10話 嫌がらせは続いたけれど、それはそれ。やりたいことは目白押し!

「続きは明日の朝でいい?」

「はい!」

「風呂から出たぞ。センジュ入ってこい」

「はーい!」



こうしてセンジュ君もお風呂に入り、やっと私も布団が無かったのでお部屋を一つお借りし、掃除魔法で掃除してから寝袋で寝た次の日。

朝ガヤガヤと人の声で目が覚めた。

着替えを済ませて部屋から出るとお父様が並んでる人々にお金を支払っていて、どうやら生活費をツケにしていたようで、そのツケ払いをしているようだ。

私が来た事とお金が入ったことが伝わったのか、しっかりツケを払って貰っている間に朝ごはんの支度をする。

エンジュさんとセンジュ君も降りてきて「ずっとツケ払いだったからな」と苦笑いしており、「300万枚で足りるかしら?」と言うと「余裕だな、ユリのお陰で助かる。ありがとう」と私の頭を撫でた。



さて、朝ご飯は昨日のご飯の残りを塩でお握りにして海苔を巻いたものはお爺ちゃんたちに。

私達はパンを焼くのだけれど、パン焼きの魔道具が壊れているそうでフライパンで焼く。



「今度父上にパン焼き機買って来て貰います……姉上すみません」

「足りないのはドンドン買って下さいね」

「本当に何から何まですまない」

「気にしない! 私はお布団が欲しいのでお父様に買って来て貰おうかしら」

「昨夜はどうやって寝たんですか!?」

「え? 寝袋で」

「……直ぐ布団を用意させる。俺達は恩人になんて事を……」

「お布団楽しみにしてますね! バターとチーズで焼いたパンがそろそろ出来上がるので、此方に使い方が書いてあるのでお湯を注いでくれます?」

「俺がやります。こんな飲み物あるんですね」

「ゴミはタキちゃんに」

「タベルヨー」



こうしてパンが焼き終わると次は卵焼きとウインナーを用意して簡単な朝食に。

スープは玉ねぎ沢山のコンソメスープだけど、味わいは良いと思う。

用意が終わるとエンジュさんがスープの入った鍋を持って行き、私がトレーに乗せて各自のパンと珈琲を。

センジュ君はスープ皿の深めの物とスプーンを手に食卓に向かい、用意をしている間にお父様は支払いが終わったようで帰ってきた。



「ふう……何処から嗅ぎつけたのか」

「多分、アレも嫌がらせでしょうね」

「多分な。まぁツケ払いは全て支払った。ユリの持参金のお陰だ、ありがとう」

「お金まだ足ります? 今日200万枚持ってこられますが」

「多すぎなくらいだ」

「父上、今日は俺と一緒に買い物に行きましょう。姉上は昨日部屋で寝袋で寝たそうです」

「むう!! 不甲斐ない!! 良いベッドを買ってやるからな!!」

「普通で良いです。後パン焼き機もお願いしますね。さ、食べましょう?」



こうして朝ごはんとなり、初めて珈琲を飲んだ大人二人はそのままでOKだったけど、私とセンジュ君はミルクでカフェオレにして飲んだ。

パンも美味しく焼けていて良かった……皆さんしっかりご飯を食べた後は、早速買い物に出かけたエンジュさんとお父様を見送り、洗い物と家の掃除を行う。

男性の洗濯物はセンジュ君が、私の洗濯物は私が行い、洗い終わると畳んで私はアイテムボックスへ。センジュ君は一人ずつ部屋に運んで仕舞っていた。



「さて、商業ギルドが来る前に宝石と石を用意しましょう」

「はい、クオーツ系は付与がしやすいので多めに種類も欲しいです」

「クオーツ系ですね」



欲しい奴に付箋が付いていて、それらを生成しながら丁寧に仕事をする。

石の生成レベルが上がり【鉱石加工レベル7】になると、綺麗な丸も作れるようになった。

ホッと一安心だ。

こうなると【宝石加工レベル1】のままだから、そっちも上げて行かないとな。



「宝石加工レベル1なんですよね……スキル上げに宝石色々作って良いです?」

「はい、お好きにどうぞ。宝石加工が弱いのは俺がスキル上げで使いますので」

「ありがとう御座います。この付箋が付いている宝石を出せばいいのね」

「はい、色々本当にありがとう御座います。買おうとするとビックリする値段なんですよ」

「でしょうね……」



そう言ってクオーツ系を出し終え、二人で並べて箱を仕舞い、次は宝石を出していると店が開く音が聞こえ魔法陣を止めて店に出る。

すると商業ギルドマスターのレイルさんが立っており、笑顔で挨拶してくれた。



「おはようございますレイルさん」

「おはようユリ。こちらが昨日言っていた残りの金貨だ」

「確かに受け取りました。所で昨日こんな事があったんですが」



昨夜乗り込んできた元婚約者の話を包み隠さず伝えると、とってもお怒りの顔をしてから顎に手を乗せている。



「それはとても悪質だね。この店も最初そうやってヤラレタそうだね?」

「はい」

「良いだろう。各場所に通達して首をキュッと絞めておこう。なに、文句をいうならさらに首を絞めるだけだと言っていたと伝えてくれ」

「分かりました」

「センジュ、君の腕は確かなんだ。期待しているよ」

「はい!!」



こうして昨日の事を暴露してやり留飲が下がった所で宝石出しを再開し、宝石はスキルが上がりにくいようで、結構出したけど【宝石加工レベル3】までしか上がらなかった。



「むう、意外と上がりにくい」

「宝石加工スキルって上がりにくいんですか?」

「ええ、大分宝石出したけど上がりにくいですね。これ以上出すと流石に問題があるかな?」

「そうですね……これだけの宝石で大きな家が建ちますよ……」

「私のスキル上げも兼ねてますし、センジュ君のスキル上げも兼ねますからいいでしょう!」

「良いんだ……」

「でも棚一杯になっちゃいましたね」

「はい、後は俺がスキル上げするだけですね」

「私も出した宝石でスキル上げ出来るか試して良いです?」

「どうぞ」



そう言うとダイヤを一つ貰い、それを使って「アイテム加工・ダイヤモンド」と口にすると魔法陣が浮かび上がった。

どうやらこれでもスキルは上げられるらしい。

二人黙々とその作業を進め、何とか1レベル上がる頃にはお昼が近づいている。

するとエンジュさんとお父様も帰宅し、台車を借りて来たのか色々買ってきたようだ。



「お帰りなさい。色々買いましたね」

「ああ、色々買わないといけない物が多かったんだ」

「あ、後で魔道具店に連れて行って貰えます? 遠隔用の手紙を出すのが欲しくて」

「高いぞアレ、買うのか?」

「ええ、連絡を取りたいと言う方が二人ほどいて」

「むう……俺の婚約者なのに、君はモテ過ぎだ」

「お世話になった方に連絡を取るだけですよ?」

「だが男性だろう?」

「そうですけど?」

「君はもう少し自分の可愛さを自覚した方が良い。黒猫のような可愛さがあるのに、ただでさえ結婚適齢期だ。俺と言う婚約者がいても欲しい男性は山のように出てくるぞ」

「む……私あちらの世界でも彼氏出来なかったので、魅力が無いのかと」

「はぁ……。いいかユリ? 君は可愛いし魅力的だ。その事で俺が嫉妬するくらいは理解してくれ」

「そうなんですね? 気を付けたいと思います」

「気を付けるというても、気を付けようがないと思うじゃがな~?」

「アルジ タッテルダケデ シセン ウバウヨネ」



お爺ちゃんとタキの言葉にエンジュさんが頷いていると、「荷物運ぶぞ」とお父様が口にして二人で荷物を私の部屋に運んでいく。

どうやら通気性のいいベッドを買ってくれたらしい。

マットレスも良さそうなのが分かる。有難い。

ベッドシーツや小物と言ったものは私が運び、家の二階の私の部屋に持って行くとベッドを組み立てているお父様と、マットレスを運んできたエンジュさんが作業をしている。

五分とせずにベッドが出来上がり、その上にマットレスを敷いて、買って来たばかりのシーツを掛けてくれた。

枕も良い感じだ。



「後は此方の薄手の掛布団っと」

「ありがとう御座います!」

「君の持参金なんだから、君の物を買うのは当たり前だと思うぞ」

「後一つは重たくて業者に運んで貰う事になってる」

「なんですか?」

「鏡台と全身の姿見鏡だな。良い物を買ったから絵柄も良いし、化粧品とかも置いて置けるし、身支度には良いだろう」

「おお、ありがとう御座います!」

「後は魔道具だが、寝苦しい夜用に部屋の温度を下げてくれる魔道具だ。風と氷の魔石を使うが、1年は持つ」

「素晴らしい!!」

「魔石は一階の納戸に入っているから、気にせず使ってくれ。後トースターと言う新しいパン焼き機があったので買ってきたぞ」

「それも素晴らしいです!!」



感動しているとお爺ちゃんが一階から上がってきて「そろそろ飯じゃとよ」と言っていたので、思わず「今日はセンジュ君に任せっきりにしてしまったっ!」と頭を抱えると、二人は嬉しそうに笑っていた。

夜は美味しいご飯作るからね!!



「そろそろご飯ですよ~」

「「「はーい!」」」



こうしてお昼は此方の世界の食べ物を食べて舌鼓を打ち、午後は冒険者ギルドへ行く前に魔道具店に向かう事にしたのだった。



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