第2話 女は度胸! と言う事で冒険者ギルドに行ってみたんですがね?

宿の女将さんに二つのギルドの場所を聞いてからまずは冒険者ギルドへと向かう。

怖い所じゃありませんように……。

そう思いつつ一番近かった冒険者ギルドにやって来た。

朝から冒険者が沢山いて怖かったけど、どっちかと言うと兵士募集みたいな声が大きかった。

戦争状態って聞いていたけど、本当に冒険者でも戦争に駆り出されるのね……。

女は度胸! 中に入って受付のお姉さんに話しかける。



「すみません、此方では鉄鉱石とかの買取してますか?」

「してます!!」

「あの、沢山出せるんですが」

「出せる? えっと、スキルですか?」

「まぁ、そうですね」

「あ、なら奥でギルマスと話をして下さい。部屋をご用意します」



そう言って通された部屋は応接室で、ソファーに座って待っていると禿げた男性が現れた。とても大柄だわ。



「スキルで鉄が出せるんだってな!?」

「え? ええ、鉄鉱石とか銅鉱石ですが」

「見せてくれ」

「えっと、まず品物を見て貰って良いです?」



そう言うと鞄から銅鉱石と鉄鉱石を取り出し見せると、どうやら鑑定したようで「凄いな、純度100じゃねーか」とぼやいていた。



「これ、幾つ出せる?」

「分かりませんが、ある程度は出せると思います。それと情報もそこから値引きして貰いたいんですが」

「おう」

「私、異世界転移に巻き込まれまして、石しか作れないからと城から追い出されて詳しいこの世界の事を知らないんです。でも今戦争状態にあるって聞いて怖くって。それで、隣の国になるんですかね? 宝石の国に逃げたいんですが、その場合商業ギルドにいってお願いした方が良いんでしょうか?」

「商業ギルド!? やめて置け、あそこに行ったらこんな便利スキル国外にだしやしねーぞ」

「え!?」

「嬢ちゃん、来たのが冒険者ギルドで良かったな。ある程度の物を出せるっていうなら、三日ほどここに泊まって、そうだな、鉄鉱石だけでいいから三日間此処で出してくれないか? そしたら宝石の国までの馬車が来るから、それに乗せて貰うよう俺から頼む。本当に頼むよ、戦争中で他国から鉄鉱石や武器になる鉱石が届かなくてヤバいんだ」



良かった。

商業ギルドはヤバい所なのね。

でも他の商業ギルドは分からないけど……この人は優しそう。



「はぁ……分かりました。この部屋を借りていいんです?」

「いや、人に見られると不味い。そんなスキル持っていたんじゃ馬鹿王太子が飛んでくる。倉庫に案内するからそこで頼めるか?」

「はい」

「ベッドも何もないから悪いな……トイレと水場だけはあるからよ」

「それでも結構です」

「しかし、今着てるのは着物だろう? 一瞬【鉄の国サカマル帝国】から人が来たのかと喜んじまったぜ! まぁ、実際鉄をだしてくれるんだけどよ!」

「では、こう言う着物で歩いていてもこの世界では普通なんですね?」

「そうだな、着物=サカマル帝国ってイメージだ」

「分かりました」



どうやら着物なら買う事は可能みたい。

浴衣の着付けは何度もしているから何とかなるし、着物も祖母の持っていた物をよく着ていたから何とかなる。

よし、この異世界では着物で過ごそう!

でも靴だけはね……後でブーツ買おうかな。

そんな事を思いつつ案内された人気のない倉庫に入り、「中から鍵は掛けとけよ」と言われ中に入り、明かりをつけて貰うとギルマスと会話しながらスキルを見せることになった。



「アイテム生成、鉄鉱石」



そう言って只管鉄鉱石をドンドン落としていくと、慌てたギルマスが鉄鉱石を並んだ箱の中に入れては戻ってを繰り返し始めた。

私はと言うと只管鉄鉱石を作り続ける。

するとスキルが上がったのか【鉱石加工レベル2】と言うアナウンスが出て来て、形が少し綺麗になった。

それでも気にせず出していくと、最終的には一日で5まで上がった。

途中ギルマスが居なくて私一人で鉄鉱石を箱に入れては戻りを繰り返したけれど、鑑定すると純度は安定して100だった。

アイテムを出す速度も上がったし、これはこれで上々よね。

するとノックする音が聞こえ、ギルマスがカギを開けて入ってきた。



「おお、もうこんなに出してくれたのか!!」

「昨日この世界に来たばかりなので勝手がまだ分からなくて」

「立ったまま箱の中に落としていくことは可能か?」

「足がふらつくので椅子持って来てなら行けるかと」

「ほうほう。なら明日からはそうしてみてくれ」

「分かりました。一つの箱に付き100個ずつ入れて欲しいとの事だったので入れてますが、これでお金幾らくらいになります?」

「ん――。これだけ純度の高い物なら、100個で金貨100枚ってとこだな」

「意外と多い」

「銀鉱石は何にでも使うから安定はしてるんだ。銅鉱石も100個あれば助かるが、値段は下がる。それでも金貨50枚だが」

「寝る前に出しておきます」

「ありがたい。プラチナ鉱石とかはないよな?」

「ありますよ」

「あるのか!? プラチナなら100個につき金貨300枚だ!」

「明日からどちらが欲しいです? 銀? プラチナ?」

「プラチナを頼む!! 金はいくらでも出す!」

「では明日からはプラチナで頑張ります」



こうして箱に入った銀鉱石の個数を鑑定で見ながら個数を書いて行くギルマスさん。

ちゃんと後でお金を支払う為に書いてくれてるらしい。

出所は冒険者より……って事にしてくれるのだとか。



「でも、外に出るにも身分証明書って必要ですよね? 冒険者ギルドに所属してれば隣の宝石の国まで行けます?」

「ああ、最終日に出してやるよ。これは助かるからな」

「ありがとう御座います」

「冒険者ギルドが持っている馬車は商業ギルドの持っている馬車より早いから結構早くに隣の国につけると思うぞ」

「そうなんですか?」

「馬が魔物なんだよ」

「なるほど」

「一応商業ギルドも魔物の馬を使っているが、鍛え方が違う。冒険者同士を定期的に運んでることもあって、慣れているんだ」

「ありがたいです」

「隣の宝石の国までは馬車で五日程だ。ちゃんと頼むから安心してくれ」

「ありがとう御座います」

「そういや飯はどうする?」

「それもスキルで何とかなるので」

「そうか、便利なのに何で追い出したんだろうな……ま、内緒にしといてやるよ」



そう言ってニカッと笑ったギルマスに私も微笑むと、ギルマスは照れながら外に出て行った。

さて、私も後は寝る前にサッサと銅鉱石100個用意してから諸々終わらせよう。

こうしてその後、箱の中に銅鉱石100個入れてから椅子を運んで机の前に座り、フ――ッと息を吐くと、宝石類とかってまだ出して無いなと思い出し、机の上で何かを出してみようと思い至る。

宝石ならダイヤ? やっぱダイヤよね。



「アイテム生成、ダイヤモンド」



そう言うと少し長めの発動があった後、小粒のダイヤが100個出て来て、それをお取り寄せで手に入れた透明な入れ物に入れていく。

鑑定すると100%不純物のないダイヤで、値段は分からない。

少し大きめのダイヤが欲しいと思い、記念だし大きい奴! と思って作ってみると、ゴトリとダイヤモンドの塊が落ちて来た。

カッティングはされているけど荒々しい。

これは練習必須ですねぇ……。

でも、30cmくらいの大粒ダイヤが出たのは嬉しい。

これだけで家が建つんじゃない?

そんな事を思いつつアイテムボックスにしまい込む。


後は金の延べ棒を只管作っていると【貴金属高レベル2】と脳内に響き、形が少し綺麗になった。そのまま【貴金属高レベル4】まで上げ切ると、山のような金の延べ棒が出来上がっていて、慌ててアイテムボックスに仕舞いこむ。


そして【お取り寄せ】を使い、腕時計と目覚まし時計を購入し、ついでに浴衣と、靴下にブーツも購入した。

後は柘植櫛に髪用のゴムとシュシュも購入し、化粧に関しては置き鏡と化粧落としと何時も使っていた化粧品を購入して、化粧ポーチに全て入れてアイテムボックスにしまい込む。

足はまだ下駄でも全然構わないんだけど、一応移動用の準備と言う事で。

寝袋を購入し、ペットボトル2リットルのお水とタオルを取り出して足と手と顔を洗い、ホッとしてから眠りについたその翌日――。




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お越しいただきありがとうございます。

最初は12時から「カクヨムコン」に参加する為2話更新です。

次は夜20時更新ですので、応援よろしくお願いします!


誤字は後で直しに来ます。すみません!


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【★完結★】召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

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