3「〝聖魔石〟探しに挑む方法」
その後。
ティーパとアンは、冒険者ギルドへと向かった。
※―※―※
恙無く冒険者登録を終えた彼らは、各々、〝ランク:G〟と表示された冒険者カードを手に入れた。
初心者はまずこの最低ランクからスタートし、依頼やクエストをこなして実績を積み重ねる事で、Fランク、Eランク、Dランク……と、ランクが上がって行くらしい。
尚、〝剣士〟として登録したアンに対して、ティーパは、〝
「何か、泥棒みたいで良いイメージが無いんだけど……」
微妙な表情を浮かべるアンに、ティーパは、いつも通り無愛想な顔で答えた。
「〝聖魔石〟という至高の宝を〝世界〟から〝奪う〟んだ。これ以上に適切な
その言葉に、ほんのちょっぴりだけ格好良いと思ってしまったアンは、「ティーパの癖に!」と、何だか悔しくなったのだった。
※―※―※
冒険者ギルドの建物を出た二人は、澄み渡った青空の下、中央通りを更に東に向かって歩いて行く。
道すがらティーパが話したのは、〝聖魔石〟のある場所と、今後の予定についてだった。
彼によると、〝聖魔石〟は、彼らがいるダーグローツ大陸――三日月のような形をした大陸――の北東の先端にあるらしい(ティーパたちが生まれ育ったウェーダン王国は、大陸の丁度中央に位置している)。
場所がはっきりしているにも拘らず、歴史上それを手にした者は誰もいない。
それは、大陸北東の地域には、〝基本的にダンジョンの中でしか遭遇しない脅威〟――モンスターが多数棲息しているためだ。
しかも、最低でも上級モンスター、中には最上級モンスターすらいるというオマケ付きであるが故に、全員Aランク冒険者のパーティーですら、モンスターの群れを突っ切って最奥にある〝聖魔石〟の下に辿り着く事は、至難の業らしい(更に、それとはまた別の難題もあるようだが、ティーパは詳しく説明しなかった)。
「何それ? 無茶苦茶じゃない!」
「ああ。だが、〝最強パーティー〟を組む事が出来れば、可能性はある」
「〝最強パーティー〟? 高ランクの冒険者たちが、あたしたちみたいな
「いや、無理だろうな」
「じゃあ、どうやって――」
「そのために、〝俺〟がいる」
「! あんた、まさか――」
その〝まさか〟だった。
ティーパは、〝
「それはそれで、高ランクの冒険者とは違った難しさがあると思うんだけど……。第一、犯罪だし……」
「大丈夫だ」
「何も大丈夫じゃないわよ! 〝犯罪〟だって言ってんのよ!」
〝聖魔石〟探しに挑む方法は判明した。
――が、どうやら、そのためのパーティーメンバー探しをする前に、ティーパにはやらなければならない事があるらしい。
「大事なことなの?」
「ああ、とても大切なことだ。行くべき場所があってな。まぁ、ちょっと数が多いが」
「何ヶ所くらい? 五ヶ所とか?」
「三十ヶ所」
「多過ぎるわ! 観光かよ! 〝聖魔石〟探しする気ないでしょあんた!」
思わず噛み付くアンだったが、何故ティーパがそのような行動を取ろうとしていたのか、その理由と、それが本当に大切なことである事を、この後直ぐに、思い知らされることになる。
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