第4話

side 芽衣子めいこ


お姉ちゃんの様子が何やらおかしいので、朱音あかねさんにLINEを送って何か知らないか尋ねてみた。

そうすると、お姉ちゃんが優斗ゆうとさんに告白をさせたくて焦らせようと優斗さんの部活サッカー部の先輩にチョコを渡したいと相談をして、協力するという返事をもらったというのだ。我が姉ながら愚かなことをしたと思う。

優斗さんは私の目から見てもお姉ちゃんのことが好きなのは間違いないし、自分に自信がないからか無駄に人気があるお姉ちゃんに告白することを躊躇ためらってしまっているけど、その気持ちは間違いないはず。

恐らくお姉ちゃんが独りで思い付いて実行したのではなく、朱音さんに相談して勧められたのではないかと思う。朱音さんは基本的に悪い人ではないしお姉ちゃんともウマが合っていて仲が良いけど、優斗さんの事が好きになっていて、もし二人の仲が壊れる時にはその間に入ろうとチャンスと狙っている様に見える。

朱音さんが隠そうとしているのでお姉ちゃんは気付いていないみたいだけど、朱音さんが優斗さんを見る目は恋する乙女のものに見える時があるし、他にもお姉ちゃんが優斗さんと何かをしたといった話をする時に聞いているだけでも辛い気持ちを隠そうとしている様に見える時もある。

お姉ちゃん友人のために自分の気持ちを押し殺して見守っているのに、そのお姉ちゃん本人が優斗さんから告白させたいからどうにかしたいなんて相談されたら腹が立って、関係を壊してその間に入り込む隙を作ろうとしてしまう気持ちもわからなくはない。私だって優斗さんを馬鹿にされているようで面白くない。


そんな事をした結果、焦らせるどころかチョコを渡す協力をすると言われてしまったのだから落ち込むだろうし、あるいは後悔していたり、不安になっていたりするのかもしれない。

しかし、あまりにも身勝手だ。今からでも優斗さんに全てを白状して謝って告白すれば、きっと優斗さんは笑って許してくれて、そして喜んでお姉ちゃんと付き合うだろう。この状況になってもまだその選択肢を採ろうとしないことが呆れてしまう。


この際お姉ちゃんはどうでもいい。優斗さんの事を一番に考えようと思う。お姉ちゃんがこのままグズグズして優斗さんを傷つけた後、朱音さんがそこに入り込むのか、あるいは別の誰かがそこへ現れるのかわからないけれど、優しいお兄ちゃんである優斗さんには笑っていて欲しいのでそのためにできる事を全力でしたいと思う。

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