第六章 北陸征伐編
第53話 天地人ってこういう事で合ってたっけ?
いよいよ北陸統一編、開幕です。
北陸も美味しいモノが沢山あるよね♪
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永禄9年(1566年)閏8月15日。
美濃・稲葉山城下で1週間程度の休息を取って軍を再編し終えた俺達は北上を開始、飛騨を通って越中へと行軍を開始した。
軍の総員は義信の率いていた軍勢の生き残りが組み込まれたので2千人増えて5千となったが、信濃から美濃への行軍に比べると『敵に見つからない様に動く』必要が無いので、だいぶ開けたルートを選択できるようになっている。それでも北美濃の
やっぱ関東・関西に比べると中日本ってマジで移動が大変な場所が多いのよな。今までもその点は色んな部分で影響があったんだろうけど、これは今後の課題として大きいわ。
行軍の最中、当家の新戦力・竹中半兵衛は馬に乗りながらあちこちをキョロキョロと見まわし「うむ、これは」とか言いながらメモ代わりに木簡に何かを書き記したり、休息に入ると誰かと談議に花を咲かせたりしている。
彼のような天才って何を考えているんだろう?と気になって様子を見ると、義信軍から合流したと思われる背格好のデカい鎧武者と兵法がなんちゃらかんちゃら、と話していたり、ウチの
一方、美濃に残った武田軍団は信玄本隊の5千だけで大丈夫か?と出発前は思っていたが、後から受け取った報告では半兵衛の策で『西美濃三人衆』と言われる有力武将や隣国の浅井氏がすでに傘下に入っているので東美濃の織田に取られていた城だけに戦力を向けられるから大丈夫なんだそうだ。
小牧山城に戻った信長対策も敵兵力がスッカラカンなところに半兵衛の進言で美濃側の木曽川沿いに土塁を積み上げた結果、大水で尾張側一帯が水浸しになったのを見た信長勢は諦めて本拠地・清州城に撤退したんだとか。
これだけのスペシャルカード、ちゃんと重宝して使っていればあのアホの斎藤さんでも国を守りきれたかもしれないのに残念だったな。まあアイツがあのままで、美濃をちゃんと統治してくれたとは思えないけど。
神通川の川幅が広くなり、平野部に差し掛かる辺りから筏を降りて山沿いに12里(約50キロ)を今度は敵に見つからないように慎重に進む。半兵衛と海老沢が先行して地形を読み解き『敵方に見つかりにくく万が一出くわしても有利に進めそうな最適ルート』を常時提案してくれてるからその点ではだいぶ気は楽だ。
遠眼鏡を持った物見からの報告では越中(現在の富山県)東側を拠点とする
今回攻めるのは松倉城ではなく海に近い魚津城。椎名氏の本拠地・松倉城は切り立った山の山頂にあり、攻め落とそうと思ったら相当な戦力と日数を必要とする難攻不落の山城らしい。そこに大将が籠っているなら力攻めしかないが、出陣中だし平野部を押さえて帰る道を押さえてしまえばあとは袋のネズミ。
魚津城を落として富山城に向かえば椎名本隊は挟み撃ちに遭う以外の選択肢が無いし、松倉城に残る残党が攻め寄せても山城という防備が無ければ大した脅威ではない。こういうのをまさに軍略って言うんだろうな。
魚津城はまさか攻められると読んでいなかったのか、大した抵抗も無くたった2日で落城した。相手にしてみれば『山中の別動隊に本拠地を狙われる』ぐらいの可能性は残して兵を配置したものの、そこをスルーで平野部を占領されて挟み撃ち、とまでは考えてなかったようだ。慌てて富山城攻めを止めてこちらに向かってきているとの報告があった。
「天の時、地の利、人の心を読む事。これぞ戦の王道なり」
策がハマった事に孔明かぶれの半兵衛がドヤ顔でよく分からないセリフを吐く。時流を読む・地の利を押さえる・相手の考えを読む、って事で合ってるのかな?そういえば何年も前に『天地人』って大河ドラマあったけど、関係ある言葉なんだろうか。
その後、引き返してきた椎名軍本隊を
「此処で押し負けるは甲斐武田の兵の名折れぞ!! 軟弱な越中勢など踏みつぶせぇ!! 」
旧・義信隊の大将と思われる大柄な男の指示で武田部隊が猛攻撃を仕掛ける。飛騨から筏で下るときに馬は置いてきたのでほぼ全軍歩兵だが、それでもとんでもない勢いだ!
「武田の隊に後れを取るな! 皆、駿河の兵も武田に引けを取らない所を見せてみろ!! 」
負けじと俺も檄を飛ばしながら強弓を引いては敵陣に矢を射掛け続ける。
敵の数8千に対してこちらは魚津城の守備に千人ほどを残してきているので総勢4千、しかも騎馬ナシ。兵力では圧倒的に不利なハズなのに何だろう、一方的に圧倒していて負ける気が全くしない。どころか、普段であればもう腕が上がらないぐらい弓を引いているのに、前線の活躍を見るとまだまだ頑張れるような気がしてくる。なんだコレ、今までに味わった事のない感覚だ。
こうして俺達は東越中の主、
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ご観覧ありがとうございます。
是非とも面白い作品に仕上げていきたいと
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