『ヨークシャーの切り裂き魔〜刑事たちの終わらぬ苦悶』

2023年,イギリス,全7話


1975年。イギリスは相次ぐ国策の失敗やオイルショックによって貧困に喘ぐ国民が急増。働き口はなく、物価は高騰し続けていた。ヨークシャーも例外ではない。

ある朝、4人の子供をもつシングルマザーの惨殺死体が見つかる。これが、その後6年にもわたる悲劇の始まりだった。


実際の事件を題材にしたドラマであり、警察の捜査を追いかける展開だが、その視点は徹底的に被害者に寄り添っている。


当時の捜査がいかに思い込みや先入観に囚われ、杜撰ずさんだったかも上手く描いていた。


印象深かったのは、取り調べや事情聴取で横柄おうへいな男性警察官に詰問される女性たちの描写。

警察の偏見や差別や優越感によって、いつも女性が黙らされて終わる。そのカメラワーク。その表情。


早くも今年の一番に出会ったような気がするくらいの良作でした。



ところで副題に『刑事たちの終わらぬ苦悶』ってつけちゃった人はセンスがないと思う。刑事ドラマだとミスリードしている。本編を見ていないのかもしれない。確かに刑事たちも苦悶しているけれど……。原題は『The Long Shadow』

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