第18話 神学者は嘆く

我らの砂漠に住まうのは

高潔で寛容な高貴なる同胞

富める者は貧しい者に与え

強き者は弱き者どもを守る

我らの神は公平を旨とし

我らもまた法を尊び

異教と共に住まうことを拒まぬ

寛大な心をもて過ごす


それは遥かなる昔

それは今や古き理

ああ、我ら、否、彼らの魂は

どこへ消えてしまったのだろうか

善きものは全て

時の彼方に去り逝き

残ったものはただ大地を

血と悲しみで赤く染める涙


信仰とは

剣を持たずに楽園を目指すための羅針盤

自由とは

決して血で勝ち取ることの出来ぬ月桂冠


東の砂漠を越え

北の果ての大地に伝わった

我らの教えはこう説いた

剣を持つものは剣で滅びると

ああ、彼ら、否、我らもまた

滅びる運命なのだろうか

善きものは全て忘却の淵に沈み

残ったものはただ

血で記された歴史という名の書物

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