24.少女を信じるか、信じないか。
『これからあそこの隠しエレベーターに乗って地下にいくよ。……大丈夫!そんな肩肘張らなくていいから!少し、貴女の過去について話したいことがあるだけ。
(怪しい、とんでもなく怪しい……!)
地下は秘匿性が高い場所である。更に、そこに向かうのも隠しエレベーターだ。何かあると疑うしかない。
「それで。俺たちにメリットでもあるのか?ないなら帰らせてもらうぜ」
そのとおりである。こちらに利が無いのならただの時間の無駄といってもいい。
「ある!あるから!そこの
「私に何のメリットがあるの?」
「襲われる前の記憶を教えてあげる。今のお姉さんには、襲われる前の記憶が不自然に消えているはず、でしょ?」
そうだ。私の記憶。一時は自分の名前さえも忘れていたが思い出した。でも"黄界"の病室で目を覚ます前の記憶が不自然に抜け落ちていた。だいたいこの戦いに参加した頃くらいからの記憶がない。
(それを教えてくれるんだから、大きなメリットではある)
覚悟を決めた。しっかりとヴィオリエッタに目を合わせる。
「分かった。あなたについていく。でも、一応銃はすぐ抜き放てる状態にしておくからね。あと、必ずこちらに背を向けて歩いて」
「俺はどうしたらいい?」
「まあ、好きにしたら。私の過去?を知りたいんだったらついて来ればいいし、別に興味ないならここにいればいいし」
緋夏汰はすぐに答えた。
「じゃあ、ついてく。ササになんかあったら寝覚めが悪いからな。護衛みたいなもんだって思ってくれたらいい」
「分かった。じゃあ2人とも、こっちだよ」
ヴィオリエッタが手招くほうに歩んでいった。
ゴーストビル 20階-B1階
エレベーターの内部は、以外にも綺麗なデザインだった。曲線的で、優美。あちこちにカラフルなガラスで花があしらわれている。
「廃墟じみたビルなのに、こんな綺麗な場所があったんだな……」
「ほんとに。さっきまでの建物を見てるとここが同じ建物とは思えないよね」
しばらくするとベルが鳴った。
「ここが地下1階。目的地はこの先でーす」
その言葉とともに目の前の巨大な扉が開いた。
ゴーストビル B1階 機密情報管理室
「もう少し先まで歩くよ」
目の前に開けた景色に、思わず私は目をこすった。
(ここが同じ建物の中なの?一部屋だけ時代が3つくらい進んでるみたい)
周囲には青く幻想的な光を放つ機械やいくつもの光が飛び交うガラスパイプ、浮かび上がったホログラム、突然浮かび上がる文字。
「すげぇ……世界にこんなとこがあったなんてな……」
「見とれてるのもいいけど、早く行くよ〜2人とも。あ、ごめん。わたしが頼んで来てもらったのに急かしちゃダメだね」
と言いつつもヴィオリエッタは1人だけさっさと歩いていく。それに置いていかれないように、周りの機械に目を奪われながらついていく。
「よし、とうちゃーく」
「………これは、扉?いやスクリーンか」
そこには大きな扉のようなものに保護されたスクリーンがあった。少しずつ扉が動き、スクリーンの全貌が明らかになる。
「今から、あなたの過去を話していくから。しっかりと聞いてて。それと、目を閉じててくれる?あと私が話している間は何も言わないでね」
私たちはそっとまぶたを閉じた。
まずは、幸実お姉さんがなぜ襲われて記憶を失っていたのかを話すね。簡単に言うと私のせいであり、教主の、
でも、あなたは花幸に負けた。そして、一度はその命を落とした。でも、わたしが生き返らせたの。わたしにも、あなたに達成してほしいことがあったから。それをするには、あなたの花幸とあなたの家族に関する記憶が邪魔だった。だがら、あなたがこの戦線に来てからの記憶を消して、あなたの家族に関する記憶を改変した。それからは、もう体験している通りね。
次に、教主の正体についてね。少し関係ない、と思うかもしれないけどちゃんと聞いてて。まず教主は体が機械でできていた。これはお姉さんたちも知ってるよね。もう一つは、教主の脳は何人かの政府軍の捕虜をベースにした人工知能であること。だから、攻撃に個性やクセが出ていたの。そして、体の部分と、名前に関してはベースにされた兵士のなかから1人が選ばれてそれをモデルにしたの。
ここからが大事。その教主のモデルにされた兵士は、あなたのお母さんであり、最大のライバルでもあった、
『もう少し、話したいことがあるんだけど、それは、そこの後ろにいるあなたに話してもらいましょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます