第15話 金髪シスターを手に入れた夜

 夕方、もう少しで暗くなりそうな時間、オレは教会の扉を開けていた。


「あら、今日は来るの遅かったですね?ずっと待ってたんですよ」


 にっこりとリリアーナが微笑みかけてくれる。エンジェルスマイルだ。それに、とても好意的なのがセリフからよく分かる。


 ごくり…

 この子、好感度、カンストしてるんだよな…


 リリアーナの顔を見て、改めてそのことを思い出し、すごく嬉しくなった。


「あー……ごめん。ちょっと、いろいろ準備してて…」


 だが、このあと言うセリフでどういう展開になるのか。不安の方が大きくて、しどろもどろになってしまう。


「準備?準備ですか?なんの準備でしょう?」


 リリアーナは不思議そうな顔になる。


「うん……えーと……」


 ホントに、あのアドバイス通りで大丈夫なんだろうな!?


「なにか、言いにくいことなんでしょうか?」


 あぁ!もう!!攻略さん!信じますよ!


「じっ!実は明日、この町を発つことになって…」


 オレは意を決して話し出した。


「……」


 カランッ


 リリアーナの手から燭台がこぼれおちる。夜にそなえて蝋燭を灯していたのだろう。


「…え?」


 すごくショックを受けているように見える。良心が痛い。


「な、なんでですか?」


「あー……えー……な、なんで?ぼ、冒険者だから?次の町に旅立つのは普通なのでは?」


 質問され、用意していなかったテキトーな回答を口にする。


「そんな……せっかく見つけたのに…」


 リリアーナがぶつぶつとなにかつぶやいている。


 こ、これは上手くいっているのか?


「あの!ライさんは!1人旅じゃないといけないんでしょうか!」


 リリアーナが顔を上げて力強く質問してくる。


「い、いや?そんなこだわりはないけど?」


 対するオレはオドオドしていた。


「では……では!!」


 リリアーナが前のめりになって、両手を合わせ、お祈りのときのようなポーズをとる。


「わたしも!連れていってください!」


 まっすぐにオレの目を見つめていた。


「……」


 ジーン…


 連れていってください。連れていってくださいだって?


 あのリリアーナが、オレのことを最初は毛嫌いしていたリリアーナが、オレについてきたいって、そう言っている。

 オレは感動しすぎて、言葉が出てこなかった。


「ダメでしょうか!」


 オレが黙っているのを見て、不安になったのか。再度、リリアーナから質問された。

 いや、ダメじゃないけど、むしろ最高の提案だけど。


「あ、でも教会は?シスターのお仕事があるよね?」


 一応気になって、ほぼ義務的な思いで確認してみる。


「シスターは辞めます!」


「そ、そっか…」


 そこまでの覚悟で言ってくれていたのか、と目頭が熱くなる。


 なんて献身的な子なんだろう。オレのために…そんな…


「ダメでしょうか!」


「いや、ダメではないけど」


 なんと答えたものかと、ここはカッコよくキメたいな、なんて思い、思わせぶりなセリフを言ってしまう。


「では!では!どうすれば連れていっていただけますか!?」


 あ、ここだわ〈いいタイミング〉って。


 攻略さんに事前に貰っていたあのアドバイスの最後のセリフを思い出した。


 〈いいタイミングでこのセリフを言え〉、そう言いましたよね?攻略さん。信じますよ。

 そして、オレはその通りの言葉を口にした


「オレの女になったら連れてってやるよ」


「っ!?」


 リリアーナは驚いた表情の後、すぐ真っ赤になった。


 しばしの沈黙の後、


「……なります。ライさんの……ライ様の…女になります…し、してください」


 言いながらリリアーナはスカートをたくし上げた。


 それはとても美しい光景だった。


 つい意識が吹き飛びそうになるほどに。


 真っ赤になって首を横に向けて震えているリリアーナに近づき、そっと頬に触れる。


 リリアーナもオレの方を向いた。目が合う。


 完璧な美少女だ。エメラルドグリーンの瞳はうるうるとオレのことを見つめていた。


 その目を真っ直ぐ見て、真っ赤になっているリリアーナにゆっくりと顔を近づけた。そして、唇を重ねる


「あっ…」

 という吐息が聞こえてきて、我慢がきかなくなり、だんだんと深いキスをしてしまう。


 そのままオレはリリアーナの身体をまさぐった。


 しばらくキスをしながら抱き合ったあと、

「そこの壁に手をついて」と指示する。


「……はい」


 スカートをめくるとビクッと反応する。


「じゃあ、いくから」


「はい……きて、ください…」


 オレは夢中になってリリアーナに覆いかぶさった。



 リリアーナが床にへたり込んでいる。


 オレはまだ立っていた。


「…ご立派です」

 うっとりとした顔でオレを覗き込み、

「もう一度いたしますか?」

 なんて言ってくれた。


「………いや、最初は無理しないでおこう」


 グッと堪えた。紳士にならなければいけないのだ。だってリリアーナは痛そうだ。


 リリアーナはオレの視線の先を確認して、もう一度オレの方を見て、にっこりと微笑む。

 左手を自分のお腹の下に当てて、「ヒール」とつぶやいた。


「これで、もう一度できますね?」


 ブチッ


 リリアーナに微笑みかけられ、理性が壊れる音がした。


「こ!こっちにこい!」


 オレはリリアーナを抱え上げ、寝室とおぼしき扉を開ける。


 ベッドの上にリリアーナを丁寧に運び、欲望のまま、むさぼることにした。

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