走る婦警さん。
猫野 尻尾
第1話:新人婦警さん。
「
彼女は今年大学を卒業して横浜湾岸警察署の婦警さんに任命された。
婦警さんになりたてほやほや。
男勝りな彼女は本当は刑事になりたいって思っている。
髪はショートボブ。
身長は160センチ、痩せてもなくデブでもない。
美人というよりは、どっちかって言うと可愛い系。
ただ性格が・・・おてんば、慌て者、早とちり、自覚がない、マイペース、
人の言うことを無視する傾向にある。
あと、人一倍好奇心旺盛、怖いもの知らず・・・。
そして合気道初段。
だから、事件の匂いがすると好奇心の虫が騒いで我慢できなくなる。
なんでもすぐ首を突っ込もうとするから捜査一課の「
めっちゃウザがられている。
「花園・・・なに捜査一課に来てんだよ」
「すいません、部屋を間違えたみたいです」
「よく部屋を間違えるよな、おまえ」
「事件なんかねえんだから、真面目に自分の職務を全うしろ」
「ハエみたいに、ここでうろちょろするんじゃねえわ・・・」
「ハエたたきで、しばくぞ」
そして、もうひとり、心音の大学時代の二年先輩の「
なにかと心音にちょっかいをかける。
与四郎は心音より一年先に警察に入って次の年刑事になったもんだから偉そうに
威張ってる。
自分だって、新米刑事のくせにって心音は思っている。
で、心音の唯一の趣味・・・それが自転車。
彼女は大学時代トライアスロンの選手だったこともあり今でも自転車を
趣味にしている。
大会では常に上位にいて優勝も含めてけっこうな成績を残していた。
愛車は「ピナレロ・プリンス カーボン T700 12K 」ってロードバイク。
ピナレロはイタリアの有名ブランド、スポーツバイシクルメーカー。
ちなみにプリンス君の、お値段は約¥583,000+消費税・・・かなりお高い。
もちろんローンだろうけど・・・。
で、心音は毎日、真っ白のプリンス君に乗って出勤している。
警察の駐輪場に止めてても、盗まれるぞって先輩のアドバイスでアラーム付き
セキュリティロックをつけている。
警察の駐輪場で自転車を盗むって・・・アホだろ。
そして心音が湾岸署に配属されて一週間、さっそく事件が起きた。
囚人を護送中の車が事故ちゃって「仲原 三郎」って囚人が護送車から脱走して
事故現場に止めてあったクリーニング屋の軽の箱バンを盗んで逃げたって知らせが、
捜査一課にも入ってきた。
心音は耳がダンボ状態でその情報を聞いていた。
「ねえねえ、先輩・・・与四郎・・・ヨッシーってば」
「なんだよ、うるさいなあ・・・」
「心音、ここでなにやってんだよ、自分の持ち場に戻れ」
「おまえには関係ないだろ?」
「それに俺のことヨッシーって呼ぶのもやめろ〜」
「俺の方が年上なんだからな」
「ふたつしか離れてないじゃない・・・それに大学時代にだってヨッシーって
呼んでたよ 」
「ここは大学じゃねえっつうの」
「っていうかあ・・・囚人が脱走したって?ヨッシー」
「捜査一課も出張るの?」
「まあ、一斉捜査になったからな・・・錨さんも俺も脱走犯捕まえに出張ら
なきゃならなくなったな・・・ 」
「私も参加していい?」
「なに言ってんだよ、おまえ・・・おまえの上司から捜査に参加しろって指示
出てないだろうが・・・」
「余計なことに首つこまないで、おとなしく交通整理でもしてろよ、おてんば」
ってことで錨さんとヨッシーは脱走犯を取っ捕まえるため車で出かけていった。
でもこのままで終わらないのが花園 心音。
つづく。
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