12話
「駿介、テストどうだった!?」
「まぁまぁだな」
学生の本文である勉学。
それを測るため定期テストが返却され、駿介のクラスメイトたちは一喜一憂していた。
もちろん、学生の駿介もテストの点数でテンションが上がり下がりしている。
彼の場合はテストの点数でお小遣いが変わるからでもあるが。
本当はテストの点数を親に見られたら、確実にお小遣いが減らされているのは目に見えている。
だが、凹んでいるところをこのはに見せまいと、必死に「テストの点なんて気にしていませんし?」アピールをしているのだ。
「そういうこのはこそ、テストどうだったよ?」
ニコニコと駿介に話しかけるこのは。聞くまでもなく良い点だったのだろう。
それをあえて聞く駿介。優しさである。
(どうせ赤点ギリギリだったと喜んでいるんだろうな。アホ可愛い奴め)
違った。単純にこのはの方が点数が下だから大丈夫と安心しているだけだった。
「フフーン、ボクのテストの点数知りたぁい?」
「知りたい! めっちゃ知りたい!」
「しょうがないな。じゃあ見せてあげる」
このはがドヤ顔で答案用紙を駿介に手渡す。
どんな点数だったとしても笑わないでいてやろうと、仏のような顔で駿介が答案用紙を見る。
が、仏の顔は一瞬で阿修羅に変わる。
「このはさん? なんですかこれは?」
「凄いでしょ!」
駿介の表情が変わっている事にも気づかず、このはは胸を張っている。
答案用紙には100という数字が書かれていた。小学生のテストならともかく、高校生でこの点数はありえないだろう。
自分の答案用紙と見比べてみるが、正解の部分は一緒である。彼女だけ別の問題を出しているという事はない。
「こっちが歴史でこっちが現代文で」
次々と答案用紙を駿介に手渡すこのは。
どれも100点に近い点数ばかりである。
驚きのあまり声が出ない駿介。
最初の内はそんな駿介の反応に、ドヤ顔マウントで満足していたこのは。
しかし、反応が毎回薄いと飽きてくるのは当然である。
「駿介は何点だった?」
「あっ!」
なので、今度は駿介の答案用紙を見ようと、奪い取るこのは。
自分の方が上だったと言ってマウントを取ろうとしたのだろう。
「あっ……、ごめん」
「いや……気にするな」
だが駿介の点数に、思わず謝ってしまった。
駿介もマウントの一つでも取られれば笑って反応出来たというのに、素で謝られてしまい気まずい感じである。
「そうだ! 駿介、ボクが勉強教えてあげるよ!」
「このはがか?」
「うん!」
満面の笑みで返すこのは。
見た目はアホの子で、名前も裏返せば
そう思いつつも、駿介は自分の答案用紙を見てため息をつく。
このまま何もしなければ、悪くなっていく一方なのは分かり切っている。
「じゃあ今週の日曜に、駿介
「分かった。頼むわ」
がっくりと項垂れる駿介を見て、このはは思うのだった。
(駿介はボクがいないとダメダメだなぁ。もしかして、これがアホ可愛いってやつなのかな)
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