クズのエルフな物語

おちゃと

第1話

 初投稿になります。


 細かい情景等、書いていない部分は、諸兄姉方の想像力にお任せします。


 物語の舞台は、よくある【魔法とファンタジーの中世ヨーロッパ風な感じ】です。


 誤字•脱字•文法間違い等、ご容赦ください。

打たれ弱いので。


 宜しくお願いします。


 投稿は、週に二〜三回です。



 この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。


………………………………………………………




 白い靄がかかる何も無い空間。果てもわからず、どこまでも続いている。

 時折、湿気を含んだ様な、篭った帯電する音が聞こえる。


 そこに存在するのは二人。

白いローブを羽織った老人だろうか。白く長い髪と髭、鼻あたりから上を白い靄がかかっており、顔を認識する事が出来ない。


 その目の前には、片膝をつき頭を垂れる少女がいた。


 幼さの残る、耳の形が特徴的な少女。年齢は十代前半だろうか。深い翡翠色の瞳、絹糸の様な長い髪、幼さの残る撫子色の唇。目が合えば、時が止まってしまう程の美少女。

 真っ白な、裾に控えめなレースをあしらったワンピースを纏っている。


「今、地上には魔素が溢れておる」


 老人の右手から、白い太陽のような球体が浮かび上がる。

 だが、黒いノイズが走ったと思うと、すぐに霧散してしまった。


「ここは我の住まう天界ぞ。このような事などあってはならぬ……」


 無機質な翡翠色の瞳が、ファムを捉える。


「ファムよ。そなたに使命を与える。地上に溢れる魔素を浄化し、清浄な大地へと戻すのだ。やり方は……すぐにわかる。よいな?」


「はいっ! お任せ下さいっ!」


 ファムの首に、白い光の輪が現れる。その光はやがて落ち着き、鉛色の首輪になった。

 同時に胸に鈍い痛みと、心臓に冷たい何かが這いずり廻る様な不快感が襲う。


「ぐっ……」


「ゆけ」


「わ、わかりましたぁ! 主様のお役に立ってみせます!!」


《……なんだかよくわかんないけど……。地上はおいしい食べ物がいっぱいだと聞きますっ! これはご褒美みたいなものですねっ!!》


 ファムの身体が、光の粒子となり地上へと流れていく。




 流れ落ちた水は戻らない。






 淡く光る森、【煌樹林帯】。

 その西側を囲む様に【サヴァの森】が、東側を囲む様に【デスグトの森】が広がっている。

 

 その煌樹林帯とサヴァの森の境界に、淡く光る木。樹高は人の背丈の3倍程度だろうか。

 

 その木から垂れ下がる一粒の果実。果実といっても、それはとても大きな果実。

 透明な膜に覆われたそれの中には、耳の形が特徴的な少女が浮かんでいる。


 朝露と朝の日を浴びたそれは、少女の類稀な美しさと相まって一種の芸術作品の様だ。


 やがて、繋がっている蔓が切れ、それはゆっくりと地面に落ちていく。


 地面に着くと同時に、膜が粒子となり消え、地面に横たわる少女。


 それは生まれたままの姿。濡れた髪に、艶やかな肢体。


 年は、大人と少女の中間くらいか。

蠱惑的な、しかし無機質な、深い翡翠色の瞳が開かれた。


「ふぅ………」





〈ガサガサっ〉


〈ばっ!〉


 近くの茂みから、野生の?エルフ?が現れた。


「うおぉぉぉーヤベぇーー! マジや! あいつ、只のアホの子やなかったんやな! やべー! やべー! はぁはぁはぁ……なぁねーちゃん! 俺とS◯Xしぃひんか! いや、ちゃうな……。俺と……◯らへんか? あーあかんこの子めちゃくちゃタイプやわー!」


 切れ長の、少し吊り上がった細い目。その目を、目一杯見開いてこちらを見ている。傷だらけの痩せ細った身体で、呼吸を荒げながら。


 耳は、不自然に長く伸びている。服は腰蓑だけ。


 全裸の美少女と変質者。起きてはいけない事件が起きてしまった。




「ぐっ、はぁはぁ……。……はい?」


 少女は苦しそうに胸を押さえている。


「ん? ええんか! やべー! 見て見て俺の耳! ほら、同族! お仲間! 仲良くする! S◯Xする! ふぉおおおおー!!」


〈キュキュキュムムムムムムムム……〉


「レイ」


〈フォン〉


 空に浮かんでいた正立方体のキューブから、一筋の光が放たれる。

 それはエルフ?の右腕を切断し、地面を抉った。


「があぁああーっ!? ふぅうーっ! ふうーっ! ふううぅーーっ! っ……っづあああぁぁーー!!」


〈ずりゅっ〉


 切断されたハズの右腕が生え、エルフ?が少女を見つめる。


「はぁはぁはぁ……」


〈ビクぅ!〉

 少女は恐ろしさの余り、身体の震えが止まらない。


〈ぐるんっ〉

〈どさっ〉


「!?」


 エルフ?は白目を剥いて気を失い、その場に倒れこんだ。


「はぁっ、はぁっ、はあっ」


 息を荒げる少女ーーファムは考える。


《ど、どう考えてもヤバいヤツ。きっと口から○を産んだりするどこかの魔王……。でも、私はしばらくここから動けない。息の根を止めるか……。いえ、さっきのレイで、私の魔力もギリギリだわ。拘束ぐらいしか出来ない……》


 ファムが右手をあげると、周りの木々から無数の蔦が伸び、エルフ?を拘束する。


「はあっはあっ……」


〈ばたっ〉


 ファムもまた力尽き、その場に倒れるのであった。








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