第5話 木村洋一という人間②
ヒマリが用をたして戻ると洋一が笑顔で出迎える。
「お帰り!」
ヒマリは思わず、「ただいま」と返し席に戻る。気不味い……洋一の気遣いの方向がズレている。どうて……魔法使いだからか?ヒマリは苦笑いで返す。
では続きからと洋一は話し始めた。ヒマリは彼をこう見ていた。誠実に全てを話してくれてる事は分かった。私を害そうと考えていない事も何となく感じる。私に信用して貰いたいだけなんだ。
お金の話しになる。一瞬ヒマリの眼が輝いた。趣味でアプリを作り始めた。出来の良いものをどんどん公開していったら噂が噂を呼び洋一の評価が上がった。とうとう洋一のソフトウェアが売れ出し結構な額を荒稼ぎをした。(高校の時、祖母にネットバンクの口座を作って貰った。)それを元手に株式やFXに手を出しそれも上手くハマり相当の資産を手にいれたそうだ。洋一はスマホを操作してネットバンクの口座を表示しヒマリに向けた。
「うそ!10億超えてる!」
ヒマリは半開きの口を閉じるのに数分かかった。そして私この人と結婚するのね!妄想も広がった。
「大体分かったから後は要ら無いから人類最大の謎!魔法について話して!」
ヒマリの辛辣な言葉と圧を感じた洋一は押し黙る。せっかくこれから盛り上がって大ウケ、大爆笑、お腹痛ーい!と成るのに……。洋一は小さく溜め息を吐いた。しかし引き篭もりタイプで陰キャな彼には大層なエピソードなど有りやしない。所詮は他人のネタである。パクリはいけません!
「僕は3日前に30歳に成ったんだ。その日パソコンで株式投資の収益を見てたんだけど急にメチャクチャに頭が痛くなり身体も全身巨人に捏ねくり回された感じで正に!激痛!激痛!マジ痛ーい!今度は頭の中に色々なモノが……まぁ情報、知識のインストールだね。」
その後気を失い多少漏らした事までは伝えて無い。
「だけどその内容は僕の知ってるモノとは全く違うモノだったんだ。魔法の事その世界の事、……何処のありふれたラノベだよっ!!」
手の平をビッシと横に振りながら自分で突っ込んだ。
そのドヤ顔にヒマリの顔が歪んだ。D T魔法使いの都市伝説が実在していたなんて……。
☆☆☆
「あっ僕はアノ経験が無いだけで女性とのお付き合いはあるよ。それも一人だけじゃないからね。」
自慢げに胸を張っる洋一。どこが自慢なんだ。とジト眼のヒマリさん。その視線に耐え切らずボソボソ言い訳を始める洋一。
「女なんて、いくら付き合っていても浮気ばかりするんだ。待合せでドタキャンし予定が空いたから隣街に行ったら知らないチャラい男と腕組みながらホテルに入って行きやがった!もう一人なんて最中に僕に電話してくるんだぞ!用事も無いのに下らない話しをしてだんだん息が荒くなって話しの途中で喘ぎ声まで上げてパンパン音させ側から別の息づかいが聞こえ来るし、人に聞かせて興奮する変態は昼間の公園でマッパでパコればいいんだよっ!!」
洋一さんブチ切れで顔を真っ赤にして握り締める両手が震えていた。ヒマリは激おこの洋一の手を両手で包み込んで彼に優しく語り掛ける。
「洋一さん大丈夫ですよ。私がついています。私は洋一さんを裏切りませんよ」
洋一はふっと我に返った。目の前の美少女ヒマリが微笑んだ本当に綺麗だと思った。なぜだか急に気恥ずかしくなり鼓動が早くなり身体が熱くなる、まともに彼女の顔が見れなくなった。
ヒマリは思う、どうて……魔法使いチョロいと流石お茶目な女子高生……思考がドライでコスパ重視。
「ヒマリありがとう。落ち着いたよ。さて君程の美少女は此れからも色々な男達やクズ共が絡んで来る。そこで僕は考えんだ。どんな馬鹿が現れ様がそれを跳ね除ける力が有ればいいんじゃね!と題してヒマリさんを強くしよう!!」
ドンドン!パフパフ!器用に一人で鳴らす洋一であった。
「あっパーティグッズも持ってるのね。私も欲しいわ亜空間収納」
明日から週末なので明日か明後日予定を空けて貰うスマホでの連絡先交換した。洋一は少し興奮していたJKげっとだぜ!とヒマリはちょっとキモと思った。
「装備とか衣装など用意する為出来る範囲でサイズを教えて頂きませんか?他用は絶対致しません。」
と綺麗に土下座をする洋一。がしかしコイツは絶対何かする!とヒマリの勘が騒ぐ。
「まっ、いいか……」
と了承するヒマリさん。
洗濯物も乾き制服を身に纏い身繕いをしてヒマリは帰途につく勿論僕が送っていく。今日の事は奴等の記憶を消しているので気にしなくてもいいからと伝える。
ふと、洋一は思う、後で記憶を消すのならば見てないで直ぐに助けてあげれば良かったかな?……テヘッ!
僕の事はまぁ彼女に任せるよ。玄関ホールでお互いに手を握り透明に成りマンション上空に転移した。透明に成っても周りからは見えないだけで自分達はお互いが見える。
「わー!夕日が眩しい!街中がオレンジ色に輝いて綺麗ですね!」
ヒマリは眼を輝かせ遠くを見ている。僕たちは夕日を浴びながら街の上をゆっくりと手を繋いで飛んでいる。本当に街中が夕日に輝いてヒマリも夕日に包まれ耀きとても綺麗だ。ずっと一緒居たいと思った。僕の鼓動が速くなっている多分顔が赤くなっているはず。僕はヒマリにそれに応えてる様に言った。
「夕日が綺麗ですね。」
無言のままのヒマリ。えっ外した?この意味分からないかぁ本当は月だけど、すると繋いだ彼女の手が少し強く握ってくれた。僕も少しだけ握り返した。なんだかとても嬉しく成って飛ぶ速度が少し上がった。街並みがとても綺麗だ。
「あー、家どっち?」
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