お片付けの話
年末になると、大掃除とか断捨離の番組が増えてくる。私は数年前に、あることをきっかけに大規模な断捨離を行ってから、家が散らかることがなくなった。インテリアセンスがないので部屋は殺風景とも言える。「部屋の様子は心象風景」という話を友人にしたところ「Simple is Bestだよ」という優しい言葉を貰った。感謝。
子供が小さい頃の話。ある日わたしは一生懸命写真の整理をしていた。息子の成長を記録した写真を丁寧にアルバムに貼っていく。大切な想い出。そこへ息子が「遊んで」とやって来た。「ちょっと待ってね」と言った後で、ふと思った。想い出の本体が目の前にいるのに、私は何をやっているのだろうかと。想い出を大切にするあまり、今目の前にいる本体に向き合わないというのは本末転倒ではなかろうかと。アルバムの整理はそこで中止した(後日ちゃんとやりました)。
今はデジタルが主流だけれど、古いアルバムは縁が変色して汚くなる。写真自体は意外に劣化していないので数年前に張り替えをした。フエルアルバム3冊ぐらい。写真を引っ張らずに台紙の方を曲げるようにして外すと綺麗に剥がれる。新しいアルバムに張り替えた。いや、デジタルにしろよと突っ込むのは無しね(笑)。この技術は実家の遺品整理の時にも役立った。ゴミに出せなくて、全部剥がしてお炊き上げすることにした。漢字変換がおかしい。お焚き上げね。食べない。
家族が亡くなったとき、自分が一番大切にしていたものを棺に入れた。遺品を処分するときに自分が大事にしていた物も一緒に処分した。物欲がなくなったのはそれからだと記憶している。今あるのは食欲と金銭欲。いや、その二つがあれば十分だろうって。
捨てる物はなくても買い替えなきゃいけない物はたくさんある。ガスコンロが怪しい。火がなかなか点かない。三分近くかかる。時間の無駄である。衣類はだれかのお下がりが多い。すなわちサイズが合わない。似合わない。金銭欲との闘いである。
人から貰ったものは捨てにくい。相手に悪いと思う気持ちと、自分を悪く思われたくない気持ちが混ざり合っている。後者は自己嫌悪の感情を連れて来るので困る。
相手は、くれた事すら忘れているかもしれない。自分だって誰に何をあげたかなど憶えていない。片付けのサイトには「プレゼントは開けた瞬間にその役目を終える」と書いてある。きっと、そうなのだろう。けれど、そこまで割り切れない自分がいる。
物語に出てくる人の宝物は、いつも一つだけ。大切な人に貰った、大切なもの。フリーレンがヒンメルに貰った指輪みたいに(数少ない読者諸君、「何のこっちゃ?」と首を傾げてくれたまえ)。
死んだ後に見られたら恥ずかしいものも悩むところである。カクヨムはどうだろう。実は身近な人には内緒にしている。だからPVは増えない。もちろん言い訳である。
読んで欲しいような読まれたくないような。大切なものは人に見せたくない気持ちがあるのかもしれない。宝物って、むずかしい。
さて、このエッセイは続くのか? 取り敢えず「連載中」にしておくことにしますね。
またいつか、そのうちに
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