第19首、第20首&ショートストーリー

 中秋の名月よりも見るべきは今向かい合う瞳の中に

 ⁡

 さざなみにゆれる月光、波の音、虫の声より、きみの横顔


 §


 砂浜へと下る階段で、見知らぬふたりとすれ違った。

「こんばんは」とお互いに頭を少し下げたあと、夕焼けに向かって歩くふたりを見て私は普段口にしない言葉を投げかけた。

「月は見なくても良いのですか?」

 しかし、そう問う私の声はふたりに届かず、そのふたりはお互いの話に夢中で、昇ったばかりの月の方を最後まで振り返ることはなかった。


 §


 ショートストーリーは、スゲ浜海岸へ月を見に行った時の実話。

 ただ「ふたり」は恋人同士には見えない男性同士でした。仕事の同僚かな?

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