第5話


「これより、フランソワ・ブラッケン元公爵の処刑を開始する」


処刑執行人の声が広場に響くと喝采で地響きが起こる。

語られる、罪の数々。

明かされる、愚かな罪の数々。


ハルディア・キャデリーヌ伯爵令嬢を殺すつもりはなかった。

ただ、毒の入ったグラスを手にしたときに「グラスに毒を混入した」として捕まえるつもりだった。

そのグラスが、誤ってアーシャことアステリア・レイフォード侯爵令嬢の手に渡ったのだ。


伯爵令嬢と侯爵令嬢。

先にグラスを選ぶのは侯爵令嬢から。

婚約者の私がいるなら、アーシャをエスコートしてて当然だった。

もちろん、アーシャは作法に倣って先にグラスを手にした。

そして……アーシャは何も知らずにグラスを傾けた。


首に麻縄がかけられる。

左右に並んでいるのは、キャデリーヌ伯爵令嬢を貶めるつもりがレイフォード侯爵令嬢に毒を盛ってしまった仲間たちだ。

ただ……キャデリーヌ伯爵令嬢の婚約者だったデドッス・ガンディス伯爵子息が『運命の出会い』をした。

そのため、キャデリーヌ伯爵令嬢との婚約を破棄したいと相談された。

その時に言われたのだ、「どうせならハルディア有責で慰謝料を奪いたい」と。


……その作戦が失敗した。

その結果が、この様だ。


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